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防災士に聞く 「大雨に備えて」

ハザードマップを活用しよう!
  • 2023年08月09日

 

ことし6月、上市町で1時間に100ミリを超える猛烈な雨を観測、白岩川ダムの緊急放流により、立山町では住宅や水田の浸水被害が相次ぎました。

また7月には、県内で線状降水帯が発生、小矢部川はじめ多くの河川で一時「氾濫危険水位」を超えたほか、建物への浸水や土砂崩れが相次ぎ犠牲者も出るなど、県内各地に被害を及ぼしました。

近年、全国各地で経験したことのないような大雨が降り、大きな被害が発生しています。

富山県でも今回を超えるような激しい雨が、いつ降ってもおかしくありません。

これからの時期は台風への備えも必要となってきます。いざというときにどう行動すればいいのか、ふだんから備えておくことが大切です。

 

ことし5月、富山県防災士会の新たな理事長に就任した吉澤実さんに、6月7月と相次いだ豪雨の状況を振り返りつつ、ふだんから身近なリスクを確認しておく方法を教えていただきました。

NPO法人 富山県防災士会 吉澤実 理事長

富山県防災士会は、ふだんは、講演会などの広報活動を通して地域の防災力を高める役割を、また災害時には、災害支援の活動をする防災士や地域の人々を支える役割を果たします。

 

【ハザードマップを活用しよう!】

ところで、6月7月とすごい雨が降りました。吉澤さんにとっても、これほどの大雨は、防災士になってからでは初めての経験だったそうです。ただ温暖化の影響もあり、今後も予想を上回るような雨が必ず降ると考えた上で、ふだんからの備えが大切だと言います。

吉澤
理事著

線状降水帯などは予想がなかなか難しいと聞いております。ということは、避難行動も予想しにくいことになります。ただ言えることは、それに対する準備は必要だろうと思っています。自分の住んでいるところにどういうハザード、いわゆる障害があるか、まず確認することが先決ではないかと思っています。

自分の住んでいる場所のハザード、障害とか危険ですよね、それを確認するために使用するのは、ハザードマップです。

こちらは、射水市の洪水ハザードマップです。自治体によって多少表示は異なりますが、県内すべての自治体が洪水に関するハザードマップを作っています。こちらを例に、吉澤さんの話に沿って、ハザードマップの見方を確認したいと思います。ハザードマップは、色のついているところが浸水が想定されている区域になります。

射水市洪水ハザードマップ 想定最大規模
全体図

 

射水市洪水ハザードマップ 想定最大規模
地区詳細図:大門地区・大島地区 拡大図(一部加筆)

越中大門駅周辺を拡大しました。例えば、Aさんは越中大門駅の南西、徒歩5分ぐらいのところに住んでいるとします。

吉澤
理事長

まず最初に探すのは “自分のとこはどこだろう” と、・・・ “ここだ” と、
“赤色になっているのはなんだろう” と思ったら、 “えっ、こんなに水が浸くの”

まず自分の家を探します。越中大門駅の南西、徒歩5分ぐらい、地図上の★マークの辺りです。周りの色を見ますと、薄いオレンジ色です。ここで、ハザードマップの端にある浸水の深さを示した表を見ますと、0.5~3.0mとなっています。1階の天井程度の深さまで浸水する恐れがあります。

2階建てなら、状況次第では2階に逃げる手もありますが、平屋でしたら、逃げましょう。

もう一度、ハザードマップに戻ります。

 

吉澤
理事長

これ水が浸くときどうしたらいいの”と、ぱっと見たら避難所がある、指定避難所。 “うちから近い避難所はどこだろう、ここへ逃げなきゃいけないのね”

Aさんの家から近い避難場所は、107番・大島南部保育園です。

ここでまた、地図の端についている一覧表を見ますと、107番・大島南部保育園は、使用不可って書いてあります。地震の時などは使えても、洪水の時は使えない避難場所なんですね。じゃあ、次に近いところは、96番・大門総合会館ですが、川に向かって行くというのは怖いので、川から遠ざかる方向にある119番・いみず野農業共同組合はどうかなと思って見てみると、2階以上が使用可能と記されています。じゃあ、ここに逃げよう、次はどの道を通って避難所まで行こうか・・・という風に考えていき、一つ一つ確認していくことが大切です。こうして事前に考えておけば、いざ大雨が降る、台風が来るといったときに、慌てず行動することができます

それから、必ずしも指定の避難場所に逃げる必要はありません。安全に避難できる場所にある知人の家などへ、早めに避難することも選択肢の一つです。

例えばAさんの場合なら、浸水の想定されていない射水市水戸田の知人の家に逃げるという手もあります。

 

【河川の洪水以外のハザードは】

ところで今回は、ダムの緊急放流によって大きな被害が起こりましたが、いま見た洪水ハザードマップでは、ダムの緊急放流までは想定されていませんでした。

大雨が降ったときは、ダム以外にもさまざまな危険があります。吉澤さんは、自分の住んでいる地区にどんな危険があるか、事前に知っておくことがとても大切だと言います。

吉澤
理事長

ひょっとしたら緊急放流だけではなくて、すごい雨が降った場合に用水が氾濫したりだとか、床下浸水とかになるかもしれません。そういうものを全部含めてのハザード、障害(危険)を見直すというか、理解することが大事

身近な用水が氾濫するという話もありましたが、山沿いにお住まいの方なら、当然土砂災害にも警戒しなくてはいけません。その場合は、土砂災害ハザードマップでぜひ確認してください。

また、例えばこちらは、射水市のため池ハザードマップです。今回はダムの緊急放流でしたが、大雨によって、ため池が決壊することがあるかも知れません。身近にため池がある方は、是非こちらも確認しておいてください。

射水市ため池ハザードマップ
(野手地区)

これらのハザードマップは、各市町村のホームページから確認できます。

また、「NHK全国ハザードマップ」も参考になります。このサイトでは、自分の住所を打ち込むことで、洪水や土砂災害、津波などの危険度を知ることができます。地元のハザードマップとあわせて、早めの避難や対策に役立ててください。

NHK全国ハザードマップ

自宅に見当たらないし“インターネットとか分からないよ”という人は、ぜひ、お住まいの市町村役場の窓口で相談してみてください

最後に改めて、吉澤さんからのメッセージです。

 

吉澤
理事長

“富山は災害が少ないんだよ”ということばがあります。“立山があるから災害が少ないんだよ”と冗談みたいな本気な顔して言う人がたくさんいます。富山県だけが特別なわけではなくて、“こんな雨生まれて初めてや”という雨が実際テレビの中ではなくて、私たちの体験にあるってことを、やっぱり感じていただきたい。災害はいつでもどこでも自分の身の周りにあるんだと。だから、おのずとやらなければいけないことは、ここで雨が降ったらどうしようかとか、何を持ってどうしなくてはいけないか、どこに避難すればいいのだろうかとか、常に頭の中でシミュレーションしていただくことが、命を守る行動ではないかと

吉澤さんは今回の水害をきっかけに、ご近所の皆さんと、自分たちの住んでいる地区にはどんな危険があるか、いざというときはどうしたらいいか、ぜひ話し合って欲しいと、話していました。

 

  • 牧野雅光

    NHK富山局(防災士資格所持)

    牧野雅光

    報道の仕事に携わる中で、防災・減災報道の大切さを痛感し、 防災士の資格を取得しました。 とは言え、日々勉強中です。

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