防災士に聞く 大雪への備えや除雪の際の注意点は?
取材:牧野雅光(防災士資格所持)
2023年01月25日 (水)
冬本番、たびたび寒波が近づいてきては、
大雪への警戒が呼びかけられる中、
具体的には、どんな備えをしたらいいのでしょうか?
また雪が降ったときには、
自宅の周りなど、地域での除雪作業が必要になりますが、
そのとき、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?
富山県防災士会の上田さんにお話をうかがいました。
上田司穂さん(NPO法人 富山県防災士会 理事・事務局長)
Q:まず、そもそも大雪の予報が出たときは、どうしたらいいですか?
A:大雪が来るかも知れないと言われたときには、
大雪になったとき何をしてはいけないか考えることが重要になると思います。
大雪のときに求められるのは、“不要不急の外出を控えること”だと思います。
例えば、日常的な買い物をしなくていい状況を作っておく。
家の中に十分な食料があって、買い物に行かなくていい状況を作るのが、
買い物をしなくてすむという“不要不急の外出を控えること”につながります。
それから仕事をお持ちの方については、会社との関係や職種にもよるのですが
大雪が近づいてくると分かったとき、在宅勤務に切り替えていただくことで、
通勤途上に大雪に巻き込まれる危険を避けることができるのではないかと思います。
Q:どうしても、外出しなければいけない場合は?
A:外出せざるを得ない場合には、大雪での渋滞や立往生に備え、車に食料や飲料水、
簡易トイレや防寒着、雪かき用のスコップなどを必ず携帯しておく。
渋滞や立往生にあったら、一酸化炭素中毒に備え、
くれぐれも車のマフラーが雪で埋もれないよう注意してください。
参考)雪で立往生 命の危険を防ぐには? - ナビ動画 - 明日をまもるナビ - NHK
Q:次に、もしも大雪が降ったとき、地域で大切なことはなんですか?
A:やはり隣近所が助け合うってことかも知れません。
一気に大雪が降りますと、除雪が間に合わないとか、融雪装置が雪を十分に
とかしてくれないことも考えられます。
そんなとき問題になるのは、万が一のための
緊急車両が通れない可能性が出てくることです。
自分の家のところだけはしっかり空ける方がいらっしゃるけど、
例えばお隣の道路に雪が残ったままですと、緊急車両が入ってこれません。
お隣がお年寄りの家であれば、気を利かせてあげて、雪をどかしてあげるとか、
やはり大雪が降ったときは、地域の助け合いというのが必要になると思います。
Q:また道路の除雪について、ついつい忘れがちなことも教えてもらいました。
A:曲がり角を除雪する際、家の前と同じようにまっすぐ直角に除雪する方がいるが、
車には前輪と後輪で曲がる半径が違うという内輪差があるため、
曲がり角は必ず、広めに空けておく必要があります。ここは注意してください。
Q:道路などの除雪作業をする際、自分の身を守るため
気をつけなければいけないことも教えていただきました。
A:いつ屋根から雪が落ちてくるか分からないから屋根雪の下では決して作業はしない。
屋根からは氷の状態になっていたり、つらら状のものが落ちてきたりしますから、
その下で作業したり、万が一子どもが遊んだりしたら、大変危険な状態になります。
そこは注意が必要だと思います。
参考)雪害の死亡リスク上位!落雪に注意 - ナビ動画 - 明日をまもるナビ - NHK
Q:屋根からの落雪に関して、もうひとつ注意すべきことがあります。
A:屋根から雪が一気に落ちてくると、雪がたまってガラス窓に当たり、
窓を割ったりすることがあります。
昔の家ですと雪囲いとかされているのですが、
雪囲いがない場合は、落ちてきた雪がガラス窓にあたらないように、
窓の前に溝や隙間を作ってあげることが必要です。
Q:最後に大雪が降った際、通学する子どもたちや周りの大人が注意すべき点も
教えていただきました。
A:例えば4,50センチの雪が降っただけで、子どもから見たら、
視界はかなり狭まってしまいます。
大人が見て全然平気で何でもない交差点でも、横から来る車が見えないことも
起こりえます。
子どもに、“雪の壁で見えなかったら飛び出すな”と言うことはもちろんですが、
車を運転する大人のほうも、子どもの行動には十分注意する必要があります。
インタビューを終えて・・・
富山の人にとっては、毎年当たり前のように行っている除雪作業。
私は雪とほとんど縁のない場所から富山に越して来て、
9回目の冬を迎えています。
その間、ほとんど雪の降らない年もありましたが、
おととしの大雪もありましたし、
この冬は、上田さんからうかがったことを思い出しつつ、
今まで以上に地域に目を向け、安全にも配慮しつつ、
除雪作業に励もうと思います。
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