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徳島・子供 専門家に聞く子どもを伸ばす“言葉がけ”のコツ

  • 2023年09月08日

    言葉のかけ方を工夫すれば、自己肯定感が上がる!キーワードは「ポジティブルール」。
    大人同士のコミュニケーションにも役立ちます!

    「早く宿題しなさい!」などと、大人に言われてイヤだった記憶、あるいは、つい子どもに言ってしまった経験、みなさんはありませんか?こうした何気ない「言葉がけ」が、子どもにどんな影響を与えるのか、子どもを伸ばすにはどのような「言葉がけ」がいいのか、ご紹介します。 

    まずは、子どもたちに「大人に言われてイヤだった言葉」を聞いてみました。

    吉成

    「大人に言われたてイヤだった言葉」はありますか?

    中2

    ゲーム機を買ってもらってそれが楽しくて、1日中 やっていて
    「宿題しなさい」と言われていやだなって思ったことがあります。

    小1

    「はやく寝なさい」と言われたことがいやです。 
    よく言われます。

    専門学校生

    「もうスマホ触るのやめな、勉強しな」ってすごい言われます。
     5分前に触り始めたのに、たまたまそのタイミングで入ってきて
    「勉強しな」って。5分しか触ってないのに、みたいなときはいっぱいあります。 

    命令や禁止をするような言い方はネガティブ思考に

    「早くしなさい」「宿題やりなさい」のような言い方。相手にどんな影響を与えるのでしょうか。
    幼児教育が専門で子どもの発達心理に詳しい、鳴門教育大学の佐々木晃(ささき・あきら)教授に伺いました。

    優しい先生です♪
    佐々木
    先生

    急かされると子どもたちはストレスを抱えるし、早くせねばいけないということをかされることで、「それに応えられない自分」というマイナスイメージも形成されていくと思います。自分って早くできない、とか、よくできない、ということで自己肯定感が下がっていくと思います。

    「~しなさい」「~してはいけない」など、 命令や禁止をするような言い方をすると、子どもは「どうすれば親から怒られないか」ばかりを考えるようになり、ネガティブな思考になってしまうんだそうです。

    自己肯定感を高める「ポジティブルール」

    佐々木
    先生

    「〇〇したらダメよ」とか、「勉強しなかったらいい学校に行けないよ」などと言われると子どもは傷つきます。その「ダメ」っていう言葉を「しようよ、やってみようよ」っていうように、ポジティブな言葉に変換することで、子どもの自己肯定感は上がっていきます。ポジティブルールでいこう!

    「ポジティブルール」とは 「〇〇したら〇〇できるよ」など、 未来に待っている楽しみを具体的に伝える方法です。子どもが自ら気づき、行動しやすくなり、自己肯定感を高めることにつながります。 

    ネガティブ→ポジティブに変換!

    吉成

    実際に、ネガティブな表現をポジティブに変換してみたいと思います。
    子どもたちからよく聞かれたのがこちら。

    吉成

    言われると一気にやる気が失せる「宿題しなさい」。佐々木先生、これをポジティブルールで子どもたちのやる気を起こす言葉に変換するとどうなりますか?

    佐々木
    先生

    「宿題ができたらパパと一緒にキャッチボールしようか」
    「宿題ができたら晩ごはんまでゲームしていいよ」というように、 
    「こうするとこう良くなる」というのを提示するのがポイントです。

    吉成

    なるほど。「未来の楽しみ」を具体的に伝えていますね。
    続いて、「ご飯できたよ」と呼んでも食べに来ない子どもに、
    母親の私なら「早く座って食べなさい!」と言ってしまいますが、
    ポジティブルールで変換すると、どうなりますか?

    変換すると・・・
    佐々木
    先生

    ここはやっぱりお母さんのかわいらしさ、人間味をアピールするのが得策だと思います。「お母さんが腕によりをかけておいしい料理を作ったぞ!  みんな食べなきゃ損よ!」とか「お母さんが作った卵焼きは人生最高に上手にできました!  食べてちょうだい!」なんて言って、お母さんの人間味をアピールするチャンスです。

    吉成

    ほかにも、ポジティブな表現への変換の仕方を佐々木先生に教えてもらいました。

        「早く寝なさい」        → 「あしたの朝ごはんは好きな〇〇だよ」
                       → 「朝早く起きたら好きな〇〇が見られるよ」
        「何度言ったら分かるの」   → 「どうしたらいいと思う?」
        「ゲームのやりすぎ」     → 「頭と目が疲れて良くないよ」

    ▽未来にどんないいことがあるのか、や
    ▽心配している気持ちを伝えるようにすると、ポジティブな言葉に変身します。

    豊かな人間関係を築いて最高の人生を

    吉成

    私も親として、ポジティブルールに気を付けたいと思います。でも、イライラして余裕がないときなどは、ネガティブな言い方をしてしまいます。言ってしまった時はどのようにフォローすればいいですか?

    佐々木先生

    「早くしなさい」って言っちゃった、と思ったら、素直に「ごめん」と謝るとか、「がんばってお片付けやってみよう」などと、言い直してみてください。
    「言い直すね」とか「別の表現をすると」と言って、自分で別の言葉を探して、変えてみることが大事です。

    吉成

    どの年代でも大丈夫ですか?大人もまだ間に合いますか?

    佐々木
    先生

    間に合うと思います。大人だってそうですよね。
    「佐々木!ちゃんと論文書いたか!」っていうのと、
    「佐々木さんの論文みんな楽しみにしてますよ、頑張ってくださいよ」って言われるのとでは大違いです。大人でもポジティブルールで励まされるといい気持ちでできます。
    ぜひポジティブルールで自己肯定感が持てて、豊かな人間関係を形成できたらそれは最高の人生になると思います。

    ポジティブルール、ぜひ心掛けたいなと思います。そして、佐々木先生が大切だとおっしゃるポイントがもう1つ。それは短く叱って、長く褒めること。感情的になって長々と叱らないように、そして褒めるときは意識して長く褒めるのが良いそうです。
    みなさんもぜひ、自己肯定感を高める「言葉がけ」試してみてくださいね。

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