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徳島駅前にオープン “誰もが輝けるカフェ”に込めた思いとは

  • 2023年09月07日

    2023年8月 徳島駅前の商業施設にカフェがオープンしました。 
    オープンに携わったのは、徳島の介護福祉士の榎本峰子さん。徳島で障害のある人の就労を支援する施設を運営するなど、20年以上にわたり福祉の現場を歩んできました。目指したのは“誰もが輝ける”場所をコンセプトにしたカフェ。オープンに込めた思いを取材しました。

    “誰もが輝ける”場所をコンセプトにしたカフェ

    徳島駅前の商業施設にオープンしたカフェ。 店頭に立つのは、最新鋭の“分身ロボット”。

    実はこのロボットを通じて、両手足の感覚がほとんどない店員がリモートで接客しています。 お客さんがロボットに向かって質問をすると、内蔵されているカメラを通じて、店員が答えます。

    調理台は、車いすに座ったままでも作業ができる高さに設計。 多様な個性をもつ店員と、作業療法士などのスタッフが支えあい、共に働きます。

    開店にかかった費用は、一般的なカフェの3倍に相当する3000万円。 クラウドファンディングと国の補助金を活用し実現しました。

    オープンに携わった徳島の介護福祉士 榎本峰子さん

    「(オープンまで)長かった。みんながわくわくして自分らしくできるような、自分を愛せれるような空間になったらいいかなと思う。」

    幼少期の“生きづらさ”がカフェオープンの原点

    カフェオープンに向けた思いの原点。
    それは、榎本さんが幼いころに味わった“生きづらさ”にありました。

    幼少期の榎本さん

    台湾出身の父と日本人の母の間に生まれ、3歳から日本で生活。周りと異なるルーツを持つことに、複雑な思いを抱えてきました。「ここに私の居場所はあるんかな。寂しかった」と思い返します。
    転機は高校時代。授業の一環で、介護施設を訪問したことでした。利用者から「今日は本当にありがとう。また来てよ」という言葉で、前を向き始めたといいます。

    諦める世の中から選択できる世の中へ

    大学を出た後、徳島の福祉業界に就職。そこで目にしたのは、都会と比べて選択肢が少ないことで、“あきらめ”を抱く人たちでした。そういった人たちを減らすべく、海水浴がしたいという思いには、徳島にはない”水陸両用”の車イスを神戸から取り寄せました。

    着物を着てみたいという声があがれば、座りながら着脱できる商品を、東京に出向き調達。さまざまな思いを、あの手この手で叶えてきました。

    今回カフェを始めたのも、ある思いを叶えるため。榎本さんの施設に通う、大輔さんです。

    先天性の脳性麻痺があり、生活には介助が欠かせません。「社会に出て働きたい」という思いがありましたが、相談した学校の先生から「君にはできない」と言われ、自信を失っていました。

    大輔さん

    「否定されている感じはすごいある。僕の可能性をうまく利用してくれなかった」

    そんな大輔さんのために取り寄せたのが分身ロボットです。飲食店での利用は東京などで広がりはじめたばかり。榎本さんは去年、いち早く企業を訪問、使用を直談判したのです。働くチャンスを得た大輔さん。向上心にあふれる本来の姿が戻ってきました。

     

    榎本さん

    「ちょっと誰かが寄り添えば、自分らしさのまま、ありのままで働けたり楽しんだり、地域の中で暮らすことができるんですよね。諦める世の中から選択できる世の中へ、それをブレずにずっと持とうと思っています。」

    多様性への理解が進まない現実も

    しかし、カフェ作りで直面したのが多様性への理解が進まない現実です。
    知的障害がある、一朔(かずさ)さん。カフェ店員は、子どもの頃からの夢でした。

    しかし、新たな環境に慣れるまで時間がかかり、心が不安定になりやすい一面があります。

    一朔さん

    「頭がごちゃごちゃになる感じ。考えることが難しくて、自分でどう向き合ったらいいのかなと(思ってしまう)」

    心の不安を抱える人も、自分らしく働けるように榎本さんは店内にある工夫を用意しました。柱や壁一面に描かれた、色鮮やかで楽しいイラストです。

    視覚など五感への強い刺激は、環境への適応が苦手な人に、リラックス効果を生むといわれ、多くの福祉現場で用いられます。
    ところがオープン10日前、思わぬ知らせが入りました。イラスト制作のため申請した国の補助金が、おりないというのです。“必要性が認められない”という理由からでした。

    「悔しい。なんでわかってくれないんだろうね…難しい…。
    都会はいいですよね、いろいろあるから。まだまだ戦いは茨の道です」

    ついに迎えたオープンの日

    訪れた客は100人以上。9人のスタッフが個性を活かしあい、乗り切りました。

    ロボットを通じて接客する大輔さん
    カフェの裏で仕込みをする一朔さん

     

    「障害というくくりではなくて、もう“私たち”。それぞれがなにかを抱えて生きているからこそ、お互い支えられている。(そのことを)当たり前のように世の中に広げていく第一歩を歩み出せたのかなと思います」

    今後はさまざまな企画を通して、多様性への理解をひろめる拠点にしたいということです。

     

    ~カフェの情報~
    「tabi no otomo」
    【住所】徳島市寺島本町西1-5アミコビル5階
    【TEL】088–679–6655
    【営業時間】10:00~19:00 ※定休日はアミコビルの営業日に準じます
    【HP】https://cafe.tabino-otomo.com/ ※NHKサイトを離れます
    店内は完全バリアフリー(アミコ内トイレもバリアフリートイレです)

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