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徳島 双子・3つ子の多胎育児に支援を

  • 2023年07月04日

妊婦の約100人に1人が双子や3つ子といった多胎児を出産しています。同時に泣いたり、授乳やおむつ替えの回数が2倍、3倍になるなど、負担の大きな多胎家庭。ちょっと助けてほしい、双子3つ子育児の情報が欲しい。だけどどこに聞いたらいいのか分からない・・・。
徳島県内で3つ子を育てている家庭と、双子や3つ子を育てるママたちで作るサークルの交流会の様子を取材。多胎家庭への支援について専門家に聞きました。

手が足りない!3つ子育児

徳島市で去年6月に生まれた3つ子のきょうだい。
ハイハイにつかまり立ちにと、活発に動き回って目が離せません。
3つ子と4歳の長男の4人を育てる母・仁美さんは、この1年を振り返って次のように話します。

毎日毎日が一瞬で終わるので、もう1歳なんだなって感じです。
この1年の記憶がないかも・・。

育児記録も3人分。どの子に何時にミルクをあげたのか、わからなくなるのを防ぐためです。生後2か月ごろの育児記録を見せてもらいました。

3つ子の育児記録

(夜中の)1時半にミルクをあげて、次の子が3時、もう1人も3時半くらいにミルクあげて。
3人目いったら次1番目の子、みたいな感じでミルクがまた始まる。
夜中は夫もかわってくれたけど、赤ちゃんが次々に起きて、やっぱり2人がかりでないと手が足りなくて。

夫婦の両親や近所の親戚に助けてもらう

仁美さんの母親が毎日のように仕事を終えてから訪ね、育児や家事を手伝っています。
「来たら(仁美さんが)ボーっとしていて、疲れが半端じゃないと思って。これは助けてやらないと続かないと思いました」

私は毎日母が来てくれているのでなんとかいけるかなと思うんですけど、近くに両親がいない人は絶対無理だろうなと思います。

おむつ替え、授乳、泣いたらあやして、寝かしつけ、目の前の赤ちゃんたちに朝昼晩ひたすら向き合う日々。睡眠をとることさえ難しい双子や3つ子の多胎育児、とにかく人手が必要です。しかし、赤ちゃんの両親と祖父母など、家族だけでなんとか頑張っている家庭は少なくありません。

多胎家庭は情報が少なく孤立しがち

徳島県内でおととし生まれた子供は4337人。このうち双子以上は111人。

少子化の進む徳島でも毎年100人前後の双子や3つ子が生まれていますが、外出するだけでも困難な多胎家庭は、身近に同じような家庭が少なく、多胎育児についての情報も得られにくいため、孤立しがちです。

情報交換の場を自分たちの手で

多胎育児特有の悩みを共有して心の支えになればと、徳島県内の多胎家庭の親どうしが交流するサークル「徳島多胎ママの会」がおととし発足しました。

立ち上げたのは、双子を育てている平尾美夏江さんと、2児の母で自身が双子の布川正秀子さん。

徳島多胎ママの会(後列左が布川さん、右が平尾さん)
平尾さん

以前、県外に住んでいた時、双子のママの会があって、私はそこで双子ママとつながれたことがすごく支えになっていました。徳島に引っ越してきたとき、ネットなどで調べてもなかなかこういう会が見つからなくて。自分たちで作ってでも双子のママたちが一緒に集える場所があったらいいなと思って立ち上げました。
ふとした時に近くに相談できる同じ境遇の仲間がいるっていうことを感じてほしいと思います。

普段はSNSで悩みを相談し合っていますが、時々実際に集まって交流しています。

公園とか遊具があるところは危なっかしくて
1人で連れていけない状況で

原っぱみたいなところで放牧、わーって放牧させるとか

けんかがこの歳になってもまだまだすごいです

双子の1人を抱っこするのは大人だけで参加した先輩双子ママ

1人で4か月の双子の赤ちゃんと参加したママには、小学生の双子を育てる先輩ママが、ミルクを飲ませたり抱っこしたりしてサポートしていました。

先輩ママの経験談を聞いたり、互いに悩みを聞いてもらったり。多胎児を育てる親どうしの交流は心の支えになっています。

参加者
「それわかる、とかいろいろ共感できることで気持ちが楽になった」
「自分で悩みをどうしていいかわからなかったけど、来たら気持ちも楽になる」

徳島多胎ママの会・平尾さん
「子どもたちやママの笑顔を見るとこういう会を開いてよかったなと思っています。まだまだ双子や多胎ママに対しての支援というのは少ない部分もあると思います」

多胎家庭 公的支援は

国は多胎妊産婦等を支援する取り組みを令和2年度から始めました。育児を手助けするサポーターの派遣や多胎育児経験者との交流事業などを自治体が行う場合に費用の半分を補助しています。

徳島県のお隣、香川県では、高松市がこの制度を活用しています。多胎児を育てる家庭では、育児や家事を助けるサポーターの派遣を1回2時間、年間10回、3歳の前日まで無料で受けることができます。年間30組程度の多胎児が生まれている高松市では、令和4年には100回を超えるサービスの利用がありました。

こうした行政による支援は徳島県内にはなく、全国的にも令和3年度時点で実施自治体が70あまりと、まだ少ないのが現状です。

専門家はどの地域でも安心して双子や3つ子を育てられるよう、行政による支援が必要だと指摘します。

日本多胎支援協会理事 落合世津子さん

経済的負担以外は人手があれば解決できるんですね。理想的なのは行政の支援。多胎のところにはサポーターがたくさん行けるように、これは自治体が国からお金を必要な費用半分もらってできる制度ですので、ぜひそれは進めていただきたいと思います。

地方では、多胎児の出生数も少なく、おじいちゃんおばあちゃんなど、家族で何とかしようとするので、支援してほしいという声が表に出てこないということがあると思います。人口の少ない地方の場合、近接の市町村で協力して広域の支援体制を築いていただきたいです。

徳島県子ども未来局子どもまんなか政策課では、県内の市町村に国の制度を活用した公的支援がないことについて
▽双子や3つ子の育児経験がある人材確保が難しいこと
▽人口の少ない市町村では支援の対象となる家庭が少ないこと
などが要因として考えられるのではないか、としたうえで、「県としても今後、市町村のニーズを踏まえながら検討する必要があるのではないか」としています。

日本多胎支援協会 落合世津子さん

多胎でなくても、子どもがバギーで泣いていたらうっとうしいと思うのではなく、みんなで助けてあげようかなという雰囲気、社会になったらいいかなと思いますね。お母さんも「助けてください」とか「お願いできませんか」って気楽に言える世の中だったらいいなと思います。

多胎の親の交流はこちら。

▽徳島多胎ママの会
 ange.tokushima@gmail.com
   ※メール画面が立ち上がります

▽ふたごちゃん&みつごちゃんの日 
 子育て安心ステーション すきっぷ(アミコビル5階)
 088-654-4460 

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