「トイレトレーニングはどうやって進めればいい?」
「トイレに誘うタイミングは?」
「そもそもいつから始めたらいいの?」など、トイレトレーニングに関して悩んでいませんか?
今回はトイレトレーニングに関するお悩みに答えます。

専門家:
井桁容子(東京家政大学ナースリールーム 主任保育士)
坂上裕子(青山学院大学 教育人間科学部 准教授)

トイレトレーニングはいつから始めるべき?

来年の春、娘が幼稚園に入園予定のため、夏の終わりごろからトイレトレーニングを始めました。
自主的にトイレに行けるようになってほしいため、やっていることとしては、本人が行きたいときにトイレに座らせるだけです。トイレトレーニングの進み方はゆっくりだと思いますが、子どものペース優先で進めたいので、とくに気にしていません。うちでは、お姉ちゃんのオムツはずれも3歳を過ぎてからと少しゆっくりめでした。
でも、幼稚園入園までにオムツがはずれていないと、自宅待機になってしまうと聞き、少し不安に思います。オムツはずしは、早い方がいいのでしょうか?
また、トイレトレーニングは具体的にどのように進めればいいのでしょうか?
(6歳と2歳7か月の女の子をもつママより)

子どもの体の準備が整ったときに進める

回答:井桁容子さん

トイレトレーニングを始める時期の目安として、決まった年齢はありません。
お子さんが、おしっこをぼうこうにためられる時間がだいたい2時間ぐらいになり、トイレに行く回数も減ったときが、オムツをはずすチャンスです。

お子さんにとっても、集団生活が始まるのであれば、オムツははずれた方が周りの子と同じスタイルで生活ができるので遊びやすくなりますよ。
また、「私だけまだオムツだ…」というように、自尊心を傷つけなくて済むかもしれません。だからといって、集団生活が始まるのを理由にトイレトレーニングを始めた方がいい、ということではありません。

トイレトレーニングを進めていくときに大事なことは、お子さんがトイレトレーニングに対してやる気になっている時期を迎えていること、お子さんの体の準備が整っていることだと思います。

6歳、2歳7か月、4か月と、3人の子どもがいます。
3人それぞれにやってあげないといけないことがあって忙しいときは、どのようにトイレトレーニングを進めてあげればいいのでしょうか?

上の子を頼る

回答:井桁容子さん

きょうだいがいる場合は、上の子を頼りにするといいと思います。
例えば、電車ごっこなどをしながら「お姉ちゃんと一緒にトイレに行ってみる?」と、トイレに誘ってもらってみたり、お母さんが動けないときは、「〇〇ちゃんのオムツが濡れていないか確かめてみてくれる?」というように、頼んでみたりしてください。

子どもにとって、オムツをはずすメリットはあるのでしょうか?

オムツはずしは子どもの自信になる

回答:坂上裕子さん

オムツをはずす体験は、子どもの自信につながります。
「できなかったことができるようになった」と、気持ちの面での成長のきっかけにもなります。
トイレトレーニングを、お子さんの自信をつけるいい機会としても捉えるといいかと思います。
あとは、おしっこを吸った重たいオムツよりも、布一枚のパンツの方が生活しやすいですよね。

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トイレでおしっこ・うんちができない状態でもパンツにするべき?

3歳8か月になるお姉ちゃんは、トイレでうんちもおしっこもできません。
以前はおまるを使っていたのですが、下の子が生まれると、イヤイヤが始まり、パンツをはかせようとしても大泣きしてしまいます。
それでも、幼稚園に行くときだけは、パンツをはかせています。でも、幼稚園の先生に聞いたところ、トイレには行くけど、おしっこ・うんちも何も出ないそうです。
おうちに帰るまで、幼稚園では我慢しているみたいなのです。
また、おばあちゃんからも「まだオムツはずれてないの?」と言われることもあり、プレッシャーを感じています。
トイレでできていなくても、パンツにするべきなのでしょうか?
(3歳8か月、2歳3か月の女の子をもつママより)

まずは、子どものできることを認めて、安心させてあげる

回答:井桁容子さん

お子さんは、機能的にはトイレができるのに、気持ち的にトイレをしたくないとなっているようです。
これは下の子が生まれたことがきっかけになっていますね。

下の子が生まれることによって、今までは、自分のペースに合わせてくれていた大人たちが、これからはいろんなことを「1人でできるように頑張れ」と言われているように感じ、それに抵抗しているのです。
「1人でできるようになったら、自分を見てくれないのではないか」「自分にも手間をかけてほしいな」という思いが、できることをやらないという形で表れているのだと思います。
これは、赤ちゃん返りのひとつで、排泄の自立の際によくあることです。

お子さんはトイレができないわけではありません。
まずは、「全部頑張らなくても大丈夫」「できないことはママが助けるよ」と、できていることを認めて、お姉ちゃんを安心させてあげましょう。
そうすることで、気持ちが落ち着き、もともとできるはずのトイレをやってくれるようになると思います。

また、周囲の人は、子どもを傷つけないように待ってあげることも必要です。
心が傷つき、ぼうこう炎になるほどトイレを我慢してしまった子もいます。
もし周囲の人が何かを言うようだったら、「機能的にはできているけど、気持ちが追い付いてないみたい。そっとしておいてほしい」と伝えるようにしましょう。

子どもの緊張や不安をしっかり受け止める

回答:坂上裕子さん

お子さんにとって、幼稚園に入園することはとても緊張することです。
その上、新しい環境で慣れないこともたくさんあるため、ある程度の不安も感じます。
とくに、繊細なお子さんの場合、そんな環境の中で、先生に「トイレに行きたい」と伝えることは、とても勇気のいることです。
幼稚園の生活に慣れるまでは、家の中で、お子さんの緊張や不安をしっかり受け止めてあげましょう。
受け止めることが、排泄を乗り越えることにもつながるのではないかと思います。

トイレを我慢して帰ってきたときの声かけのコツはありますか?

親側からは話題に出さなくていい

回答:坂上裕子さん

子どもから言ってこない限り、親側から話題にして、トイレの話に焦点を当てなくていいと思います。
子どもから話してきたときに、共感してあげるようにしましょう。

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子どもをどのようにトイレに誘えばいい?

息子は2歳半からトイレトレーニングを本格的に開始しました。
でも、始めてから3か月間、一度もトイレでできたことがありません。
遊んでいるときに、「トイレに行ってみる?」「おしっこたまってない?」と誘ってみるのですが、話をそらそうとします。それでも根気強く誘うと、「じゃあ見るだけ!」と言って、トイレには行ってくれるのですが、なかなか座ろうとしません。どのようにトイレに誘えばいいのでしょうか?
(2歳9か月の男の子をもつママより)

遊びがひと段落したときに声をかける

回答:井桁容子さん

子どもは遊んでいるときは、遊ぶことに夢中です。やりたいことがあるときは、やりたいことに集中したいですよね。

声をかけるときは、遊びがひと段落したときにするといいと思います。
遊びがひと段落したところで、「トイレに行ってみる?」と誘って、「行きたくない」と言われたら、「おしっこが出そうになったら教えてくれる?」と聞いてみてください。
そうすると、トイレに行きたくないと、気持ちをこじらせることはないと思います。

子どもに主導権をもたせる

回答:坂上裕子さん

例えば、補助便座とおまるの2つがある場合は、「今日はトイレとおまる、どっちでする?」と選べるようにしたり、パンツをはかせるときも、「どのパンツにする?」と選ばせてあげたりと、子どもが主導権を持てるようなプロセスがあるといいと思います。

トイレに行きたいと言う前に、「おしっこが出ちゃった」と事後報告になった場合は、どのように対応すればいいのでしょうか?

回答:井桁容子さん

「出ちゃった」と言われたときは、「残念だったね。気持ち良くないね。早く新しいパンツに変えようね」と声をかけてあげましょう。
また、“オムツ”で「出ちゃった」より、“パンツ”で「出ちゃった」を経験させることも効果があるかと思います。
“パンツ”で出ちゃう方が、不快感が強いですよね。

近くの公園に出るときなどに、かっこいいパンツをはかせて、「このかっこいいパンツは濡らしたくないよね、おしっこ出そうになったら教えてね」とするといいと思います。

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子どものおしっこのリズムはどうやってつかめばいい?

インターネットでいろんなサイトを見ていると、「子どものおしっこのリズムをつかむこと」が大事だと言われているのですが、どうやってつかめばいいのでしょうか?
今は、朝起きたときやお昼寝から起きたときに、トイレに誘うようにしていますが、全然うまくいきません。
たまに自分から、トイレに行くと言い出すこともあるのですが、トイレを遊び場だと思っているらしく、連れて行って座らせても、「トイレットペーパーを出して、ふいて、終わり」になってしまいます。
(2歳3か月の女の子をもつママより)

排尿間隔を調べる

回答:井桁容子さん

実際にお子さんの排尿間隔を調べましょう。
最初にオムツを替えた時間を確認し、30分間隔で、オムツの具合を調べて、次のおしっこまでの間隔を調べてください。パンツの場合は、何分パンツが乾いたままでいられるかを確認しましょう。
調べた排尿間隔に合わせるようにしてトイレに連れていくと、タイミングが合って、おしっこが出ることがあります。
大人でも、ぼうこうにおしっこが溜まって出したいと思わないと、トイレはできないですよね。
排尿間隔を調べて、子どもがトイレに行きたいと思うタイミングを狙ってみてください。

「トイレトレーニング」と言うと、「私が頑張らなきゃ!」と思われるママが多いのですが、ママが頑張ることではありません。ママが頑張ると、それが子どもの負担になることもあります。
トイレでおしっこやうんちを出すことは、体の機能が出来上がると、簡単にできるもの。排尿間隔をつかむことが、トイレトレーニングの一番のポイントになります。

できることから一歩ずつ順番に

回答:坂上裕子さん

トイレトレーニングだからといって、排尿だけが大事なのではありません。

例えば、ズボンやパンツの上げおろしができたり、便座に座れたりするだけでも、それは子どもができるようになったことです。
トイレでおしっこができなくても、できるようになったことは褒めてあげるといいと思います。
「できることが増えた」と思うと、子どもの自信にもつながります。

できることから一歩ずつ順番にすることで、安心してトイレトレーニングに取り組めるかと思います。


夜のオムツがなかなかはずれない。病院は受診すべき?

3人の子どもがいるのですが、5歳になる長男の夜のオムツがなかなかとれません。
トイレトレーニングを始めたのが、3歳で、日中のオムツはすぐにはずれました。でも夜のオムツはこの2年間1度も成功しませんでした。
病院で受診した方がいいのでしょうか?
(5歳、2歳8か月の男の子、3か月の女の子をもつママより)

回答:坂上裕子さん

排尿をコントロールするメカニズムは、昼間と夜間で少し異なります。
実際に、小学校にあがっても、夜間の排尿が苦手なお子さんもいらっしゃいます。
心配でしたら、小学校に上がるときを目途に、一度受診されてもいいかと思います。

回答:加部一彦さん(埼玉医科大学総合医療センター新生児部門 小児科医)

お子さんの体格にもよりますが、ぼうこう容量がまだ小さいことが可能性として考えられます。

【対策】

  • 夕食以降は水分摂取を控えめにする
  • 寝る前は必ずトイレに行く

8歳以上でも、毎週定期的におもらしがあるような場合には病院を受診してください。


すくすくポイント
全国のママたちが考案!トイレトレーニングを楽しく進めるアイデア

「すくすく子育て」では、年に1度、全国のママから子育てアイデアをお寄せいただき、そのアイデアの中から大賞を決める「決定!すくすくアイデア大賞」を実施しています。
今回は、過去にお寄せいただいた子育てアイデアの中から、「トイレトレーニングを楽しく進めるアイデア」を紹介します。

トイレトレーニングにお悩みのママ!ぜひ試してみてください!

トイレ屋さん始めました(2013年作品/千葉県 杉浦潤子さん)

トイレ嫌いのお子さんをお店屋さんごっこ風に楽しく、トイレに誘うアイデア。
ポイントは、ママが店員になりきること!
【実践例】
ママ:「いらっしゃませ~トイレ屋さんです。トイレに行きたい人はいませんかー?」
子:「はーい、ちょっとまっててくださいね」
ママ:「1名様ですか?」
子:「はい」
ママ:「おしっこでしょうか?うんちでしょうか?」
子:「おしっこです」
ママ:「かしこまりました。中へどうぞ」(といいながらトイレへ案内)
ママ:「では、お手持ちのおもちゃは下に置いてください。おもちゃを置いたら、ズボンとパンツをおろして、お座りください」
子:「はい」
ママ:「今日は寒かったですね」
子:「そうですね」

ちゃんとトイレができたら・・・
ママ:「お客様、ポイントカードはお持ちでしょうか?」
子:「はい」
ママ:「本日はおしっこポイント2倍デーですので、ポイント2倍でつけさせていただきます」
ママ:「いつもご利用ありがとうございます」

トイレでおしっこ楽しいよ!(2009年作品/香川県 中村亜紀子さん)

ゲーム感覚で子どもが何度でもトイレに行きたくなるアイデア。

まずは、10cm四方に切ったトイレットペーパーに好きな絵を描きます。

あとは、おしっこしそうな時間を見計らって、その絵をトイレに浮かべれば準備OK!

「トイレに鬼さんがいるよ!やっつけて!」などと、ゲーム感覚で、子どもをトイレに誘い込めば、楽しくトイレに来てくれます!

実験してみる?(2013年/大分県 薬師寺知佳さん)

子どもの心をくすぐる言葉を使って、トイレに誘うアイデア。

トイレに誘っても、なかなか行ってくれないときにオススメ。
「子どもの心をくすぐる言葉」はこちら。

「おしっこ出るかどうか一回実験してみる?」

子どもが大好きな「実験」ということばを上手に使ったアイデアです。
ちゃんとおしっこが出た場合は、「実験大成功!」と言って、子どもをほめてあげると楽しさも倍増です。


みなさんもお子さんの性格に合ったオリジナルアイデアで、トイレトレーニングを楽しく進めてみてください!

※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです