わが子のことが好きで好きでたまらない! そんな親バカ自慢をたっぷりお届けします。また、わが子を愛しすぎるがゆえの親バカならではの悩みに答えます。
大豆生田啓友(玉川大学 教授)
庄司智春(お笑い芸人/3児のパパ)
今回のテーマについて
どうすれば、このまま個性を伸ばして育てられる?
息子(3歳)は、幼稚園で習ったダンスに、自分なりのアレンジをしていて、ダンスの才能を感じます。比べたことはありませんが、きっとリズム感もあります。小さいころから英語を聞かせていて、文字やアルファベットを覚えるのも早かったと思います。とにかく、いろんな才能を感じています。
いちばん驚いたのは、ぬいぐるみを並べて、それぞれ「どの動物が好き?」とテレビ番組の大物司会者のように話を回していたところです。
そんな個性あふれるわが子ですが、これから成長して、小学校や中学校になったときに、周りとうまくやっていけるのか、出る杭は打たれるような、つらい思いをしないか心配です。この子らしい天真らんまんさを大事にしたいです。どうすれば、このまま個性を伸ばして育てられるでしょうか?
(お子さん3歳のご家族)
ほめることが自尊心・自己有能感につながる
回答:大豆生田啓友さん
親バカっぷりが最高ですね。親バカになってほめていると、子どもの自尊心・自己有能感につながります。これからの社会は、どれだけ自分らしさを発揮できるかが大切で、その意味では親バカを大事にすべきかもしれませんね。
親世代は「学校で困るのではないか」と思いがちなことも、変わってきています。学校での教育も変わりつつあるのです。自尊心・自己有能感をつくっていくほうが大事だと思いますよ。
―― 庄司さんの子どもたちはどうですか?
―― 個性を伸ばしたいとき、親が注意することはありますか?
「親の期待に応えないと」がプレッシャーになる場合も
回答:大豆生田啓友さん
親バカはとてもいいのですが、行き過ぎると「うちの子はすごい」が先回りする可能性があります。これもあれもできるのではないか、と考えて子どもにやらせてしまい、子ども自身のものではなくなってしまう。親の期待が過剰になると、子どもは「親の期待に応えないといけない」とプレッシャーを感じることがあるので、注意しておきましょう。
―― 習いごとにたくさん通わせても大丈夫でしょうか?
いちばん好きでワクワクするときに、力をいちばん発揮する
回答:大豆生田啓友さん
習いごとは、子どもがいろんなことを経験するチャンスになる、よい役割があります。一方で、子どもがいちばん力を発揮するのは、好きでワクワクしているときです。それは発達の研究からもわかっています。習いごとが多すぎると苦しくなるかもしれないので、本人の気持ちを聞くこと、子ども自身で決められることが大事だと思います。
家庭が心の安全基地になる
回答:大豆生田啓友さん
子どもがいろんなことにチャレンジできるためには、家庭が心の安全基地になることがとても大事です。ふだんから「あなたはすてきよ」と言われていると、安心できる場所になり、土台になるわけです。子どもが社会に出たとき、うまくいかないこともたくさんあるはずです。そんなときも、「大丈夫と受け止めてくれる」と子どもが思えることが大事なのです。
―― いつも子どもの気持ちを受け止めていると、甘やかしにならないか気になります。
親の思いを伝えてもいい
回答:大豆生田啓友さん
受け止めることと、子どもの言いなりになることは違います。親も、「こうあってほしい」など、親の思いを子どもにぶつけてもいいと思います。
このお便りをいただいたママより、こんな質問もありました。
もし、息子が「芸能界にいきたい」と言ってきたら、「芸能界の荒波にもまれる覚悟を持て」と言おうと思っています。古坂さん、庄司さんのように全国放送のテレビに出演できるようになるには、息子にどんなアドバイスをしたらよいでしょう?
子どもの自由にさせる
回答:庄司智春さん
「ほっとくのがいちばん」だと思います。妻も同じ意見でした。親として心配になる気持ちはよくわかります。それでも口を出さず、子どもがやりたいことを自由にさせるのがいいと思います。
私自身、親に「芸人になりたい」と言って養成所に入り、それからは何も言われていません。妻も、「オーディションを受ける」と言ったあと、何も言われなかったそうです。親は影で応援して、子どもが結果を報告してきたら「がんばったね」とほめてあげるのもよいと思います。
客観力・主観力・想像力が大事
回答:古坂大魔王さん(MC)
一流といわれる芸人は、「人」としてもちゃんとしてるんですね。「芸人さんはいい人が多いよね」と言いますが、それは逆で、いい人が、人気があって仕事を続けられているわけです。「いい人」とは何かを考えると、客観力、主観力、想像力がある人だと思います。この3つがあれば大丈夫だと思います。
親バカ自慢メール
ここで番組に寄せられた「親バカエピソード」の中から、いくつかを紹介します。
すれ違うおばあちゃんに「かわいいね~」と声をかけられることが多い息子。ニコッと笑いさらに「かわいい」と言ってもらうのがお約束です。おばあちゃんキラーが進化して、将来はかわいい系アイドルかも? と考えています。
(親バカネーム なつみかん 2歳男の子のママ)
知り合いに「手足が長いね!」と言われ、うちの息子はスタイルがいい赤ちゃんなんだ! 将来はモデルかな? と家族と盛り上がりました。
(親バカネーム ひよママ 6か月男の子のママ)
5か月ぐらいから、カレンダーを見せるとよろこぶようになりました。お風呂に浸かって10まで数えると、うれしそうに聞いています。数字に関することで子どもが笑ったり機嫌よくなったりするたびに「天才だ! 将来は数学博士よ!」と思っています。
(親バカネーム あい 8か月男の子のママ)
親の機嫌がよいことは大事
外では謙遜して子どもをほめられない。子どもが戸惑わない?
息子(1歳)の「動きたい欲」がすごいです。寝返りをしはじめたころは、周りの子のハイハイを見て、自分も動きたいけど動けなくて、くやしくて泣いていました。つかまり立ちをはじめたころは、ベビーガードのように置いていた大きめの座椅子をよじ登りました。自分の目線ぐらいの高さを乗り越えるのは、すごいと思いました。
ちなみに、毎晩寝息をかぐほど息子が大好きですが、今後心配なことがあります。家では、息子ができたことをたくさんほめますが、外でほかの人たちといるときは、謙遜して、できないことをおおげさに言ってしまいがちです。言葉を理解するようになったら、家と外での違いに戸惑わないか心配です。
(お子さん1歳のママ)
子どもは家の中と外をうまく切り替えている
回答:大豆生田啓友さん
子どもは、家の中と外をうまく切り替えているものです。親が外で言ったことも、「本当は違うよね」ときちんと聞き分けていることもあります。あまり気にしすぎないほうがいいかもしれませんね。
マイナスな面をあえて言ったり、他人と比べない
回答:大豆生田啓友さん
謙遜だとしても、マイナスな部分を外で言われるのは、誰でも、大人でも嫌だと思います。わざわざ外で言う必要はありません。よく、身内を悪く言うことがありますが、言われれば傷つきます。
4歳ぐらいになると、他の子と比べて自分がどうなのかが大きなテーマになります。例えば、「〇〇は、あの子より自分のほうができない」ことも、わかってきます。そんなことをあえて言われると、とても傷つくので避けたほうがよいでしょう。
気持ちのいい親バカになるには?
―― ずばり、気持ちのよい親バカになるには、どうしたらいいのでしょうか?
いい親バカになる=子どもの力を信じる
回答:大豆生田啓友さん
子育てをしていると、つい子どものマイナス面が見えてきます。でも、マイナスではなく、「わが子のココがステキ」があればあるほど、子どもも親もハッピーになると思います。その意味で、親バカについて話を広げるのはとても大事だと思います。
「いい親バカになる」ことは、言いかえると「子どもの力を信じる」ことだと思います。それぞれの子どもが持っている力があります。それを信じることは大事ですよね。
※記事の内容や専門家の肩書などは放送当時のものです