NHKスペシャル

シリーズ日本新生 "国際人"がニッポンを救う

いま世界における日本の存在感が失われつつある。20年前、世界1位だった「国際競争力ランキング」は、24位にまで低下、中国・台湾・マレーシアに後塵を拝する状況となっている。経済の面では、いち早く新興国市場をターゲットに据えた中韓に水をあけられ、家電・半導体などの主力産業が危機的な状況に。さらに、「研究者の数」「引用される論文数」が、中国に抜かれるなど、“科学技術立国”の足元まで揺らぎ始めている。
深刻化する日本の凋落、その一因となっているのが、グローバル時代に活躍できる人材の不足である。しばしば、その理由として挙げられるのが、若者の“内向き志向”。一方、学生からは、就活が留学の障害になっているとの声も聞かれる。
実際、国際化を突きつけられているのは、若者だけではない。少子高齢化による国内市場の縮小を背景に、多くの企業がM&Aを駆使し、一挙に海外市場での巻き返しを図ろうとする中、現地でマネジメントできる中堅層がいないことが、大きな問題となっているのである。
日本の未来を担う“国際人”をどう育てていけばよいのか?専門家や市民を交え、徹底討論する。

<キャスター>
三宅民夫アナウンサー
守本奈実アナウンサー

放送を終えて

「国際人」と言われたとき、どんな人物が思い浮かびますか?漠然とイメージはできても、身近に国際人がいるという人は少ないのではないでしょうか。私自身、日常的に海外取材をすることがなく、国際人といわれても身のまわりでモデルになるような人物も見当たりません。そんな、日本国内にどっぷりつかったディレクターが、「商社を取材すればヒントがあるのかな」ぐらいのレベルから取材を始めました。
取材、スタジオ討論から見えてきたのは、「内向き志向」が国際人輩出を阻み、国際人が生まれない現状が日本の国際競争力を低下させているという現実でした。「チャレンジスピリッツがない若者」という根性論・世代論ではなく、日本企業の業績低迷→新卒採用の縮小→就職活動の時期を逃さないために内向きになる、という理由から留学をためらう学生たち。日本の国際競争力低迷をめぐる根深い現状を突きつけられました。
日本の国際競争力低迷を打破するためにも、望まれる国際人の育成。しかし、あまり難しく考えることなく、マザーハウス副社長の山崎大祐さんが語ってくれたように、「たった1人外国人の友達を作るだけで変わる」ぐらい、気楽に構えればいいのかと思います。そうじゃないとハードルが高くなりすぎますし・・・
番組を通して、1人でも多くの方に「国際人」への一歩を踏み出してもらえたら幸いです。

ディレクター 糸瀬昭仁