任期満了に伴う埼玉県知事選挙は、8月6日が投票日です。各地の選挙管理委員会は、誰もが選挙に行きやすくしようと、さまざまな取り組みを行っています。
春日部支局記者・小川高史/さいたま局記者・平岡仁/所沢支局記者・瀬出井小百合
「投票お助けカード」と名付けられたこのカード。投票に支援が必要な人にも、安心してもらえるようにしようと、春日部市選挙管理委員会が、今回の県知事選挙で初めて導入しました。
このカードには、どのような支援を必要とするか、以下の3つの項目が書かれています。
□職員による代筆(代理投票)をお願いします
□大きな声で話してください
□拡大鏡を貸してください
自分で投票用紙に書くのが難しく、係の人に代わりに書いてもらう「代理投票」の依頼などをこのカードでできるのです。
カードは市役所や投票所に置かれています。支援を希望する人は、項目に印をつけて投票所の係員に示せば、投票が終わるまで、係員の支援を受けられるということです。
春日部市選挙管理委員会は、このカードを導入で、口頭で支援の要望を伝えられなかったり、周囲に聞こえてしまうのが嫌だったりする人も安心して投票できるようになるとしています。
同様のカードは「投票支援カード」として、県内では飯能市や加須市、戸田市、三郷市でも導入されています。
春日部市選挙管理委員会書記 大河原弘樹さん
「代理投票の申し出をできない人でもカードを提示するだけで支援を受けられます。今後の選挙でも導入して、より多くの人に投票できるようにしていきたい」
戸田市では、投票の際にジェンダーに配慮した対応をとっています。
投票所では、有権者の本人確認をしてから、担当者が投票用紙を交付する機械のボタンを押して、投票用紙を発行しています。
機械には、「男性」と「女性」の2つのボタンがあり、どちらかのボタンを押さなければならない仕組みです。以前は、投票所の担当者は、訪れた有権者の見た目などで性別を判断して、ボタンを押していました。
こうしたことを行っていた理由について、戸田市選挙管理委員会は、「男女別の投票数を把握するため、受付時に集計した人数と投票用紙を交付する際に集計した人数を照らし合わせ、正確な数を確認していた」と説明しています。
こうした対応について、担当者からは以下のような声があがっていたということです。
▼「見た目では判断できないことがあった」
▼「判断できていないとわかるような態度をとることで、有権者が不快に感じる恐れがあるのではないか」
さらに、現在は、投票所整理券に印刷されたバーコードを読み取ることで自動的に人数を集計できるようになっていて、用紙を交付する際に、見た目で判断して数える必要もなくなっていました。
こうしたことをふまえ、戸田市選挙管理委員会はジェンダーに配慮し、去年7月の参議員議員選挙から、性別で区別せず、同じボタンを押す対応に変えました。
戸田市選挙管理委員会は、今回の埼玉県知事選挙でもこうした対応をとっています。
戸田市選挙管理委員会を担当 澁谷雄志さん
「投票する際に、性別を見た目で判断してきたことでネガティブな気持ちになっていた方も、気持ちよく、投票していただける環境を作ることが大事だと思い、このような運用を行っています。どんな方でも気がねなく、投票に来てほしい」
目が不自由な人にも投票に行きやすくしようという取り組みを進めている所もあります。
所沢市選挙管理委員会が送っている、投票所整理券が入ったこの封筒。印刷されているのは、特殊なコードです。
このコードをスマートフォンに専用のアプリを入れた上で、カメラで読み取ります。
すると、投票日、投票場所や投票時間の問い合わせ先の電話番号などの案内を音声で聞くことができます。
所沢市選挙管理委員会によりますと、これまでは市で把握している視覚障害のある人にのみ、個別に点字のシールを貼って対応していましたが、このコードの導入で、市が把握していない人にも音声で選挙の案内をできるようになったということです。
所沢市選挙管理委員会 渡邊政人さん
「障害があっても、高齢者でも当たり前のように選挙の情報を得られるよう、心がけています。多くの人に投票に行ってほしい」
埼玉県知事選挙の投票日は、8月6日で、即日開票されます。