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東京 豊島区 女性と子どもにやさしい街を 出生率の市町村ランキング 上位と下位の50位まとめ

  • 2024年4月22日

女性1人が一生に出産する子どもの数を示した「合計特殊出生率」。
厚生労働省はおととし(2022年)までの5年間の平均値を調べた結果、全国平均は1.33で、前回調査よりも0.1ポイント低くなりました。

東京23区では、豊島区が0.89と最も低く全国でも7番目に低くなっています。子育てしやすいまちづくりを政策の柱とする豊島区の取り組みについてまとめました。

合計特殊出生率 全国平均1.33

市区町村別に調べたところ、最も高かったのは、▽鹿児島県徳之島町で2.25、次いで鹿児島県天城町が2.24、沖縄県宜野座村が2.20で、上位20の市区町村のすべてを九州と沖縄の自治体が占めました。

一方、最も低かったのは、京都市東山区で0.76、次いで大阪市浪速区と京都市上京区がともに0.80で、下位20の市区町村の8割を政令指定都市と東京23区が占め都市部での出生率が低い傾向が続いていることがわかりました。

~東京23区では~
東京23区では、東京・豊島区が0.89と最も低く全国でも7番目に低くなりました。

~上位50市町村と下位50市町村~

“結婚出産前向きになれる環境を”

都市部で出生率が低い傾向にあることについて、人口問題に詳しい日本総合研究所の藤波匠上席主任研究員は次のように分析しています。

日本総合研究所 藤波匠 上席主任研究員
「都市部は結婚や出産が遅い傾向があり、独身者が多いので出生率は低くなりやすい。一方、出生率が高い地域は、昔ながらの子どもがたくさんいる地域の雰囲気・風土があり、産んでいることがあると思う」

そのうえで、出生率を上昇させるためには、男女が平等に家事育児を担い、結婚や出産に前向きに慣れる環境を作ることが重要だと指摘しています。

「若い人が結婚や出産に結びつかない原因の1つとして経済的な問題は大きい。お金がないから結婚・出産に踏み切れない方が結構いるので、経済や雇用の環境を充実させて若い人を支えていくことが必要だ。また、日本には結婚出産で女性の負担が増えていく構図があるので、男女が平等に家事育児を担い外で働けるようにして、結婚・出産に前向きになれる環境を作っていくことが重要だ」

さらに国や自治体の子育て支援については、次のように話しています。

「全国どこに住んでいても一定の支援を受けられるのが望ましく、現金給付や無償化の施策は国の責任で全国一律に提供し、自治体は子育てに悩んでいる親のための相談窓口を充実させるなど、地域でなければできない住民に寄り添ったサービスに注力すべきだ」

豊島区“子育てしやすいまちづくり”

前回0.94と全国で6番目に出生率が低かった東京・豊島区。
今回、順位を1つ上げたものの、0.89と0.05ポイント低くなりました。

~子育てしやすいまちづくりを“政策の柱”~
豊島区では、2014年に民間の研究グループが発表した消滅の可能性がある都市に東京23区で唯一、挙げられたことを受けて子育てしやすいまちづくりを政策の柱にしてきました。

特に、保育所の整備に力を入れてきて、2017年度以降は「待機児童ゼロ」をほぼ達成。

5年前からは、子どもを預けていない人でも園の行事への参加や離乳食などの相談ができる「マイ保育所制度」を実施しています。

区内にある園の園長は次のように話していました。

豊島区にある園の園長
「子育て中はちょっとしたことでも不安になりがちですが、徒歩圏内ですぐに相談できる場所として広く活用してもらっています」

~ことし2月から支援員が毎月訪問~
さらに、ことし2月からは、生後4か月から11か月までの赤ちゃんのいる世帯を支援員が毎月訪問し、困りごとを聞き取ったり、子育ての情報を提供したりする取り組みを始めました。

訪問後には、育児用品に使える電子クーポンを1回につき3000円、最大で8回分、2万4000円を配布していて対象者の8割が利用の登録をしています。

訪問を受けた生後4か月の赤ちゃんの母親は、子どもの発達や母乳のケアのしかたなどについて支援員に相談していました。

母親
「夫の育休が終わり子どもと2人きりのことが多かったので、心配に思っていることを聞いてもらえるのはありがたいです」

出生率が低下したことについて豊島区子育て支援課の安達絵美子課長は、次のように話しています。

豊島区子育て支援課の安達絵美子課長
「出生率の向上にはさまざまな要因があり、何かをすればすぐに上がるというものではないと考えている。子育て施策だけではなくさまざまな角度から取り組みを進めて、希望する人が産み育てやすい豊島区を目指したい」

豊島区長“女性と子どもにやさしい街”を

豊島区の高際みゆき区長は、4月19日の定例会見で出生率が前回の調査よりも低くなったことについて、「産みたいと思う人が産める環境をつくることは本当に重要だと取り組みを進めるなかで感じていて、少し期待もしていたので、残念だ」と述べました。

そのうえで、「豊島区は“女性と子どもにやさしい街”を標ぼうしてきたが、これからもしっかりと頑張りたい。そのために、人口動態などの分析を進め、次の手を打つための検討を重ねたい」と話していました。

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