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機能性表示食品の総点検 健康被害は?小林製薬サプリメント含む147件の情報が

  • 2024年4月22日

機能性表示食品の総点検、消費者庁は4月18日、6530製品についての集計結果を発表しました。小林製薬が機能性表示食品として届け出ていた紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題を受けた総点検の結果、小林製薬のサプリメントを含む35の製品で、合わせて147件の健康被害の情報が医療従事者から事業者に寄せられていたということです。制度のあり方についての議論内容などとあわせてまとめました。

機能性表示食品とは

「機能性表示食品」は、パッケージに、健康の維持や増進に役立つという食品の機能を表示したものです。販売前に、事業者が食品の安全性や機能性の科学的な根拠などを消費者庁に届け出て公表する必要がありますが、許可制ではなく、国の審査も行われないため、事業者の責任で適正に販売することになっています。

摂取した人が腎臓の病気などを発症した小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントは機能性表示食品でした。

消費者庁が総点検 1700事業者

紅麹の成分を含む小林製薬のサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題を受けて、消費者庁は機能性表示食品のおよそ6800製品、およそ1700の事業者に、▼医療従事者から寄せられた健康被害情報がないかや、▼国への報告の体制などを尋ねる総点検を行いました。

6530製品の集計結果 147件の健康被害情報

回答は4月12日が締め切りで、速報の集計結果が発表されていましたが、消費者庁は18日、締め切り後に回答があったものを加えた6530製品についての集計結果を発表しました。

それによりますと、小林製薬を含む22の事業者の35の製品について、合わせて147件の健康被害の情報が医療従事者から事業者に寄せられていたということです。
小林製薬の製品は「紅麹コレステヘルプ」について5件の健康被害の情報が寄せられていたということです。

機能性表示食品制度 有識者会合の意見

消費者庁が設置した機能性表示食品制度のあり方を議論する有識者による検討会の初会合が4月19日に開かれました。会合で出された意見などは次の通りです。

海外では医薬品の成分として使われている「ロバスタチン」と同じ物質とされている「モナコリンK」が紅麹の有効成分として届け出されていたことについて、「医薬品の成分を含むものが機能性表示食品として流通してしまっている現状は、そもそも制度に不備があるのではないか」

今回、小林製薬は、製品の出荷時の段階で、不純物の混入など何らかの異常に気づいていた可能性があるとして、「現在は事業者の性善説に基づいた制度になっているので、より厳しいルールを作っていかねばならない」

今回の小林製薬のケースは国への健康被害の報告までおよそ2か月かかっていて、それが被害を拡大させたと指摘されていることを踏まえ、事業者からの報告について、義務化も含めたルール整備を検討すべき。

現在、取得が望ましいとされている、製造工程での品質管理を行う「GMP」という規範について、義務づけが必要かどうを検討すること。

不確かな有効性を過大に宣伝する事例も多いなどとして、消費者に分かりやすい情報提供の必要性を訴える意見。

検討会では今後、消費者団体や健康食品事業者の団体などへのヒアリングを行うなどして議論を行い、消費者庁はその結果をふまえて5月末までに制度の見直しの方向性をとりまとめることにしています。

“過去も繰り返し議論に 連携し実効性のある対策を”

食品安全の問題に詳しい立命館大学客員研究員 畝山智香子さん
「幅広い論点が示されているが、機能性表示食品制度を作るときや厚生労働省の過去の会合でも繰り返し議論になり、提言が行われてきたものだ。それにもかかわらず今回の健康被害が起きてしまったことを反省しなければならない。検討会でまとまった提言は関係省庁が連携して実効性のある対策にしてほしい」

 

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