厳しい暑さが続くなか、特に注意が必要なのが熱中症です。専門家は、体の水分の量が減り熱中症のリスクが高まっているのに自覚症状がない“かくれ脱水”と呼ばれる状態に注意するよう呼びかけています。自分の身を守るための方法をお伝えします。
厳しい暑さが続くなか、東京 墨田区は6月から区内14か所の高齢者福祉センターなどに、高齢者が休める「涼み処」と名付けたエアコンをつけたスペースを設けています。
70代の男性
「異常な暑さですね。昼間はできるだけ外に出ないように気をつけて過ごしています」
70代の女性
「暑いですが、自宅は風通しがいいのでクーラーではなく扇風機を使っています。寝るときは枕元に飲み物を置き、こまめに水分を補給するよう気をつけています」
体の水分の量が減り熱中症のリスクが高まっているのに自覚症状がない“かくれ脱水”。
熱中症に詳しい兵庫医科大学の服部益治特別招聘教授によりますと、ふだんの体内の水分の量は、成人で60%ほど、65歳以上の高齢者で50%から55%ほどだということです。
こうした体内の水分の量が減っても、脱水症の症状がはっきり出ず、自覚症状がない状態が“かくれ脱水”と呼ばれ、脱水症の一歩手前の段階で、熱中症のリスクが高まるとしています。特に体内の水分量が成人より少なく、のどの渇きなどを感じにくくなっている高齢者は注意が必要です。
さらにコロナ禍では、運動をする機会が減り、水分を体に蓄える役割を担う筋肉が衰えたり、マスクをつけることで口の中の渇きを感じにくくなったりしていることから、“かくれ脱水”のリスクが高まっているということです。
兵庫医科大学 服部益治特別招聘教授
「自分が“かくれ脱水”になっているか、いち早く気づくには、手の甲をつまんでみることが有効です。皮膚をつかみ上げて下ろした時に、皮膚が戻るが、その戻りが悪いというのが一番のわかりやすいサイン。きょうは戻りが悪いと思ったら、その時点でかくれ脱水です」
服部特別招聘教授が“かくれ脱水”の対策としてあげたのが、「こまめな水分補給」と「食事」。
のどが渇いていなくても1時間にコップ1杯を目安に水分を補給するとともに、食事でも水分を補給できるため、できるだけ3食とることが大切だとしています。
また、運動不足で筋肉の量が減らないように、エアコンをつけた室内で無理のない範囲でしゃがんだり立ち上がったりして体を動かすことも重要だとしています。
兵庫医科大学 服部益治特別招聘教授
「新型コロナで自粛生活が続き、筋肉が衰えることで、体が水分をほしがっていてもすぐに脱水症状になってしまう状態になる。とにかくこまめな水分補給を意識して、“熱中症予備軍”ともいえる“かくれ脱水”に気をつけてほしい」