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東京 北区の銭湯「稲荷湯」“世界的にも後世に残すべき文化財”

  • 2022年7月1日

都内でいま少なくなってきた銭湯。多いときには、都内におよそ2500軒ありましたが、いまでは5分の1ほどに減少しています。
こうしたなか、北区には昔ながらの銭湯を守ろうと奮闘する人たちがいます。

常連客でにぎわう「地域の湯」

東京 北区のビル街の一角にある「稲荷湯」。“宮造り”の建物は、昭和5年に建造され、“国の登録有形文化財”になっています。

番台に座るのは稲荷湯 土本公子さん

昔ながらの番台で、おかみさんがお出迎え。常連客でにぎわう「地域の湯」です。

2人は常連客だそうです

「お風呂は61年通っています」
「みなさんとここでお話できるそれで元気でいられる」

しかし、経営面では、設備のメンテナンスや後継者の確保など苦労が絶えないといいます。

「稲荷湯」 土本俊司さん
「次々に壊れていくので楽ではない。いま職人がどんどん減っていて、部材も入手できない状況が続いている。直すにも後継者が将来やってくれるというのが前提で、そういう人がいないとやっても意味がない」

銭湯好きの専門家集団が

そんな稲荷湯に、心強い助っ人があらわれました。銭湯好きの専門家集団「せんとうとまち」です。

「せんとうとまち」のメンバー

メンバーは建築家や文化財修復のプロなどで本業のかたわら、銭湯文化の発信や、経営者の支援を行っています。
稲荷湯が国の登録有形文化財になったのも栗生さんたちの後押しがあったからです。

稲荷湯の天井

建築家で代表の栗生はるかさんによると、稲荷湯の天井は“格天井”と呼ばれる神社仏閣にある格の高い天井だそうです。

「せんとうとまち」代表理事 建築家 栗生はるかさん
「庶民の場所であり、裸になって入浴する場所がこんなにぜいたくなつくりをしているというのは冷静に考えるとすごい」

経営資金の確保はどうする?

課題は、経営資金の確保です。国内での支援だけでは限界を感じていた栗生さんたちは「世界」に注目しました。

ニューヨークを拠点とする文化財保護を行う国際機関に、援助を求めることにしたのです。

「せんとうとまち」のメンバーのひとり、翻訳家でアメリカ人のサムさんも申請書の作成に尽力しました。

サム・ホールデンさん
「建築的な価値もありながら、銭湯がほかの建物以上にまちに及ぼす影響がすごくある」

その結果、稲荷湯は200を超える候補地の中から選ばれ、およそ20万ドルの支援が決定しました。
火災で修復中のフランス・パリ、ノートルダム大聖堂とならび、世界的にも、後世に残すべき文化財であると認められたのです。

ワールド・モニュメント財団 日本代表 稲垣光彦さん
「銭湯で醸し出される地域・人との絆はこれからの世界でも必要とされるのではないか」

栗生さんたちは、支援金を稲荷湯の改修費のほか、地域の絆を育む「新たな仕掛け作り」にもあてました。

銭湯に隣接し長年使われていなかった従業員部屋を、休憩やワークショップを開催できるコミュニティスペースに改築しました。
銭湯になじみのなかった若い世代にも足を運んでもらいたいと考えています。

「稲荷湯」 土本俊司さん
「いろいろな人の助けがあってここまでこられたので、感無量です」
土本公子さん
「気持ちがありがたいし、これからも残していかなきゃいけないなという気持ちが何倍にも膨れています」

「せんとうとまち」代表理事 建築家 栗生はるかさん
「この地域に銭湯って大切だよねと思ってくれる人を増やせればいいなと思います。今後は、銭湯のある地域に住んでよかったと思えるような展開にしたいです」

栗生さんたちは、守るべき銭湯はほかの地域にもあると考えていて今回の稲荷湯での経験をいかして全国の銭湯を支援していきたいと考えています。

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