浜松に新鉄塔現る!浜松放送所の建設工事の舞台裏
- 2023年06月06日
技術のお仕事シリーズ。今回は浜松市内に登場した銀色の鉄塔、浜松エリアのTVやFM放送をお届けしている新しい電波塔です。NHK、民放含めた静岡県各社がこの鉄塔から電波を送信しているんです。新しくなった浜松放送所について、工事作業とともに紹介します! 現地工事は2021年から始まり2年をかけて完成し、今年5月22日より放送が切り替わりました。NHK静岡 技術グループ
浜松放送所の特徴
鉄塔高 132.9m *鉄塔高だけでいえば日本平(静岡市清水区)を抜いて県内一となりました。
送信電力1Kw 総合/Eテレ
250W FM
浜松市内を中心に約50万世帯へ放送を届けています。
建物や鉄塔は民放と共同で建設、運営しています。
鉄塔の最上部にあるTV送信アンテナが2段(上下)構成になっていて、静岡県内では初登場となります。アンテナ作業する時や障害があっても、上下のアンテナを切り替えて放送を継続できます。TV用のアンテナは上の段で16基、下の段で16基あり合計32基になります。*日本平は1段16基です。
電源設備には自家発電装置を有していますが、受電も2系統から給電しており、停電に対する安定度も高くなっています。
建て替えについて
今回の放送所建て替えは老朽化更新によるもので、2015年から検討が始まっています。
電波のエリアが変わらないように、新しい建物は同一の敷地内で行っています。同一敷地内の建設作業は、新しい鉄塔が既存アンテナの電波を遮蔽し、視聴者に影響がでないようにするなど大変難しい作業となります。
鉄塔建設
それでは鉄塔の建設から送信アンテナを取り付けるまでを見ていきましょう!
取り付けるまえの送信アンテナ
いずれの工程も、となりの鉄塔では放送を継続しているので、神経を使います。
アンテナの切替と夜間作業
建物や鉄塔といった建設工事が終わると、本運用に向けて電気を通し、実際のアンテナでの電波テスト等を行っていきます。アンテナの切替には一度電波を止めないと作業できないため、夜間に放送を休止して作業時間を確保します。電波を止める時間は概ね 午前2:00~4:00の間です。
この間に大雨や地震の情報があると工事作業を止めて、放送を出す準備をします。 そのため計画通りに進まないことも起こり得ます。 コンテンツを出す静岡放送局と連携を取り、最新情報に注意しながら作業しています。
5月~6月の1か月ほどの間に以下の内容について夜間作業を実施しました。
*内容によっては複数回実施しているものもあります。
① 新アンテナの特性を測定 接続がきちんとされているかを確認
② 新鉄塔から試験電波を出して中京地区や中継局への受信影響を確認
③ 新アンテナ(上)からの電波発射テスト
④ 新アンテナ(上)への切替、運用開始
⑤ 新アンテナ(下)からの電波発射テスト
⑥ 新アンテナ(下)への切替、運用開始
⑦ 新アンテナ(上下)の最終特性測定
電波干渉の測定
新しい鉄塔やアンテナから電波を出す場合、想定外のエリアに影響を与えていないか確認が必要です。
事前にエリアを計算していますが、電波は目で見えませんので確実に実態を把握します。切替日当日は黄色い丸印のポイント 田原TV(愛知)、豊橋TV(愛知)、伊勢TV(三重)などの放送所で確認しました。 この3局の一部の放送事業者が浜松TVの送信チャンネルと同じチャンネルを受信をしていますが、 影響がないことを確認できました。
こういった作業を経て、新しい放送所へ生まれ変わります。静岡県内には70か所にTV送信所があり、老朽化する時期には更新作業が必要です。
今回の工事を通して、より災害に強い放送所に建て替えることができました。 皆さまのご理解を得ながら、県内各地しっかりと放送を届けられるよう努めていきます!