NHK静岡　日本平デジタルタワー　放送所の裏側

●24時間365日
　放送を継続するために

NHKは平時でも台風などの非常時でも、皆様のご家庭へ確実に放送を届けるため、設備の点検を定期的に実施しています。

毎⽇稼働している器機は劣化も早く、また屋外の設備は⾬や潮⾵などの影響を受けてすぐに傷みます。定期的な点検を実施し、故障しないように事前対策を⾏うことも技術担当者の仕事です。

今回は、2022年12月に実施した伝送部と電源部の点検をご紹介します。

● 県内最大の放送所　
　～日本平デジタルタワー～

日本平デジタルタワー（正式名称：日本平デジタル放送所）はテレビの電波を送信する目的以外に、県内各地からNHK静岡放送局に映像を中継する役割も担っています。東は遠笠⼭(伊⾖市)、⻄は粟ヶ岳⼭(掛川市)の鉄塔から送信された電波を日本平デジタルタワーのパラボラアンテナで受信し、その映像信号をNHK静岡放送局に送ります。

現在では携帯電話の電波を利用した映像伝送も増えていますが、大災害などで通信が混雑した場合でも、この中継設備は独立した周波数を使用しているため、安定したきれいな映像の伝送が継続できます。

県内で発⽣した事件・事故等の映像や、各地にある天気カメラの映像の多くは、この⽇本平デジタルタワーを経由してNHK静岡放送局まで迅速に届きます。ニュースの映像や生放送の番組の中で、皆さんにお届けしています。NHK以外の放送局も同様の設備を設置しているため、日本平デジタルタワーには多くのパラボラアンテナがあるのです。

① 伝送設備点検

今回は、地上80mほどにある頂上付近のアンテナを点検するため、ヘルメットや安全器具を⾝に付けて、はしごを登りました。普段使わない筋⾁の疲労と緊張を感じました・・・

下では⼩さく⾒えていたパラボラアンテナも、間近で⾒ると⼈より⼤きく迫⼒がありますね。実は直径3mもあります。キズや歪みがないか、電波を通している管に破損がないか、丁寧に点検を⾏いました。

実際に、今回の点検で機器の一部故障を発見しました。すぐに交換部品を手配し、翌日の交換で無事復旧させることができました。点検作業の大切さを改めて感じました。

② 電源設備UPS点検

　放送設備は24時間365⽇間いつでも放送できるよう、バックアップする設備が用意されています。停電が発生した場合でも放送を続けられるように⾮常⽤発電機があり、⾃動で切り替わるようになっています。

この⾮常⽤発電機はエンジンで発電機を動かすため、始動してから電源が安定するまでに数⼗秒かかってしまいます。一方で、放送中の設備が電源を失うと、簡単に放送を再開することはできません。この数⼗秒の間も電気を放送機に送り続けるために、UPS（無停電電源装置）という巨⼤な電池を設置しています。

今回はこのUPSが正しく動作できるか、点検を実施しました。

テレビの電波を出す機器が故障したとき、予備系に切り替えて放送を続けられるよう、特に重要な設備は2台1セットで構成されています。そのため、UPSの点検中に停電が起きた時でも放送が止まらないように、使⽤する放送機を適切に切り替えて点検しています。

日本平カメラ

「たっぷり静岡」などで放送される日本平からの映像は、鉄塔に設置したカメラで撮影しています。

技術担当の仕事はどうでしたか？　今回、2つの点検で重大な異常は見つかりませんでした。これからも24時間365⽇、みなさまに情報がきちんと届くよう設備の維持・管理に努めていきます！