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リニア中央新幹線 2023年上半期の動き まとめ

2023年の上半期リニア中央新幹線をめぐる注目の動きをまとめました。
  • 2023年06月12日
2023年5月 自民党リニア特別委員会に向かう川勝知事 自民党本部

山梨県内でのボーリング調査を巡る静岡県と山梨県の不和や、大井川の流域自治体トップたちの新たな動き、静岡県とJR東海の協議など、2023年上半期のリニア中央新幹線の注目ポイントをまとめました。

3月27日 大井川利水関係協議会
田代ダム案「協議を早期に進めるべき」

流域の自治体や利水団体でつくる「大井川利水関係協議会」が開かれました。JR東海が、「全量戻し」のため工事で県外に流出する水と同じ量だけ上流の田代ダムで取水を抑える方法を検討することや、これはダムを管理する東京電力の関連会社の水利権に影響を与えないことなどを説明。この方法を前提に具体的な協議に入ることを要望したところ「協議を早期に進めるべきだ」という意見で一致しました。

4月12日
JR東海 丹羽俊介新社長 川勝知事と初面会

静岡県庁 知事室

4月1日に就任したJR東海の丹羽新社長が前社長の金子慎新会長とともに川勝知事と初めて面会しました。丹羽社長が母親の地元・浜松市で生まれたことなど自己紹介をしたほか、リニア工事の協議の進め方について意見を交わしたということです。 面会後、丹羽社長は「地域の方々の懸念を解消するために誠心誠意、双方向のコミュニケーションをとりながら説明を尽くしていきたい、静岡工区の早期着工に理解と協力をお願いしたいと申し上げました」と話していました。 一方、川勝知事は「科学的工学的な議論が大切だということで共通理解した。丹羽社長は静岡への愛着もあり、非常にいい感じで会話が進んだ」と話していました。

4月20日 流域自治体の市長ら
国に「指導力の発揮」要望 JRと県の協議で

国土交通省鉄道局

島田市の染谷絹代市長らが国土交通省を訪れ、上原淳 鉄道局長に大井川流域の10市町の連名で要望書を手渡しました。要望書では、岸田総理大臣が年頭会見でリニア開業に向け「地元地域との調整を進める」と発言したことを踏まえ、国が、静岡県とJR東海の対話に積極的に加わり、課題解決に向けてより強い指導力を発揮することをなどを求めています。 面会後、島田市の染谷市長は「田代ダム案などは具体的な協議に入れないのが現実だ。工事を前提にしないと質問できないこともあり、国交省が県とJRの調整に頻繁に加わり、齟齬が生じないようにしてほしい」と話していました。

4月26日
山梨で出た水はどうする? 県とJRが議論

リニア工事による県内の水資源への影響を議論する県の専門部会が開かれ、JR東海が2023年2月に開始し、水の流出の懸念があるとして川勝知事が中止や説明を求めている山梨県側から静岡県境に向けたボーリング調査について議論が行われました。

 県の森貴志副知事が、県境付近で水が湧き出た場合、静岡に水を戻す考えがあるかJR東海に尋ね、担当者は「山梨県で出てきた水が静岡側から流出してきた水なのか、しっかり考える必要がある。今のところ考えていないが今後、議論していきたい」と応じました。 

会議のあと、JR東海中央新幹線推進本部の澤田尚夫 副本部長は「静岡から山梨に水が流れることはありえるが、ボーリング調査に全く関係なく水が流れていることもある。『何が何でも全部戻しなさい』ということではないのではないか、対話の前提として整理できないか、と考えを述べた。現状で、山梨の地下水を静岡に戻す考えはないが今後、県ともよく相談して対応を考えていきたい」と述べました。

 一方、森副知事は「水を戻す方法について議論を進めてきた中で、山梨県で掘削した時に『そこに静岡の水があるかないか』という議論になってしまったのは少し残念だ。科学的・工学的な見地から議論を進め、静岡県の水が山梨側に流れているかどうか判明するまでは、JRには水を戻す方法の検討も含め、しっかりとした対応を求めていきたい」と述べました。

5月11日 “キーパーソン” 
島田市 染谷市長 リニア問題を語る

島田市の染谷絹代市長がNHK静岡のニュース番組「たっぷり静岡」に生出演。

JR東海が「全量戻し」の方法の1つとして示した田代ダムの取水を抑制する案について「(JRが試算した)毎秒2トンの表流水がなくなるというセンセーショナルな話が当初あったことを比べると、現実的に水を戻す方法が見えたと感じた。トンネル工事で湧き出す水を戻すすべがあるということが具体的に見えてきた。今、考えられる唯一の方法だと感じている」と述べました。 

また、大井川の水資源への影響について2021年に国の有識者会議がまとめた中間報告について「トンネル工事期間中に県外に流出してしまう水は最大でも500万トンで、大井川を流れる水の0.2%~0.3%。自然の環境の誤差の範囲内におさまる数値ということがはっきりわかった」と述べました。 

そして「大井川上流部の地下の地質構造などはどこまいっても、まだ解明されていない部分が多くて、議論を尽くせば、みんな分かるのかというとそうではない。不確実性が残る。そうした中で、リスクの高い議論をまずしていかないといけない。リスクにも軽いものと重いものがあり、一様に議論しているとなかなか前に進まないのではないかという風に思っている。ただ、(川勝知事には)議論を重ねていただけることに感謝している」と述べました。

5月12日 静岡県がJRに出した文書
山梨県 長崎知事が不快感示す

山梨県 長崎知事 定例記者会見で

JR東海が山梨県内で行っている地質や地下水の状況を確認するボーリング調査について、5月11日、静岡県は掘削で湧き出る水が静岡側から流出している可能性があるとして、流出した水の戻し方について県の合意を得るまで、県境から山梨県内の約300メートルの区間を掘削しないよう求める文書をJR東海に対して提出しました。 

これに対し、山梨県の長崎知事は翌日に行われた記者会見で「大変強い違和感を感じている」と述べ、静岡県が事前に調整も行わず文書を提出したことに不快感を示しました。そして「調査で出た水は山梨県の水だというのが常識的な考え方だ。山梨の経済活動に対して規制をかけるのは極めて例外的な場合に限られるべきだ」と述べました。

5月15日
山梨県 長崎知事の不快感に川勝知事が釈明

山梨県内で行われているボーリング調査をめぐり、静岡県がJR東海に対し掘削しないよう求める文書を出し、山梨県の長崎知事が不快感を示していたことについて、川勝知事は、この日行われた記者会見で「1月にJRに提出した文書と同じような内容だったため、相談する必要がないと思った。礼節を欠いた対応だった」と釈明しました。

5月31日 期成同盟会に知事初めて対面出席
自民党リニア特別委員会が説得を試みる

リニア中央新幹線の開業に向け沿線の都府県で作る「建設促進期成同盟会」。静岡県は去年加盟し、初めて対面で川勝知事が総会に出席しました。知事は、リニアに賛成の意思を示した上で「水資源や工事の残土置き場の問題があり知恵を借りたい」と述べ協力を求めました。 

夕方には、自民党本部で自民党のリニア特別委員会が開かれ、「建設促進期成同盟会」のメンバーが出席しました。この中では静岡県が山梨県内のボーリング調査の中止を求めている問題について協議し、山梨県の長崎知事が「調査は工事の作業員の安全を守るためにも科学的事実を把握するためにも必要だ」と述べ、出席した自民党議員の大半が賛同しました。委員会では調査の継続を受け入れるよう川勝知事を説得しましたが、川勝知事は「期成同盟会の中で問題を共有したい」と述べて拒否しました。この問題は期成同盟会で議論することになりました。

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