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静岡 浜松市 行政区再編決定 その経緯と課題

  • 2023年03月01日

浜松市の行政区の再編をめぐり、関係する条例案が22日、浜松市議会の本会議で賛成多数で可決されました。来年1月1日に実施され、いまの7つの区が3つに再編されることになります。10年以上にわたって議論されてきた区の再編。これまでの経緯と今後の課題を考えます。

行政区 来年から3区へ 条例案可決

浜松市は来年1月1日から、現在の7つの区を3つに再編します。
現在の中区、東区、南区、西区と北区の三方原地区をまとめて新たに中央区に、浜北区と三方原地区を除いた北区を浜名区にします。 そして天竜区をそのままの地域で残す区の再編が実現することになりました。

22日に開かれた浜松市議会の本会議では、市が提案していた行政区の再編に伴って変更される新しい区の名前や区域などを示した6つの条例案について審議が行われました。一部の議員から「行政サービスの質が落ちる」などといった反対意見が述べられましたが、その後、6つの条例案それぞれで起立採決が行われ、いずれも賛成多数で可決されました。 

鈴木康友 市長

浜松市 鈴木康友 市長
長い道のりだったが、10年以上かけて議案が可決されたということで感無量だ。何回も議論を重ねてくれた市議会にも感謝したい。

10年以上にわたる議論 その経緯は?

そもそもなぜ、浜松市は長い期間をかけて行政区を現在の7区から3区にしようとしてきたのでしょうか。地元の経済界などは、今後の少子化などに対応するためには行政運営の効率化が必要だとして行政区の再編を訴えてきました。 

当選当時の鈴木市長

その経済界などの支援を受けて、2007年に初当選したのが鈴木市長です。公約に掲げる形で実現を目指してきましたが、住民サービスの低下が懸念されるなどとして、市議会の過半数が反対するなど、 大きな抵抗を受けました。 

そこで4年前の統一地方選挙にあわせて賛否を問う住民投票を行いましたが、賛成と反対がきっ抗するという結果になりました。その後、市議会が主体となって特別委員会を設置し、市と連携しながら再編が必要かどうかから改めて議論を始めました。再編のあり方までを具体的に話し合ってきたため、長い時間がかかったのです。 

市民の反応は? 期待と不安

浜松市の行政区再編に関する条例案の可決を市民のみなさんはどのようにとらえているのでしょうか。
浜松駅前で聞きました。

60代女性
ようやく決まってこれで財政の健全化が進むと賛成の気持ちです。再編してもそれぞれの地域の特徴を無くすのではなく、逆に生かしていくまち作りが進むことを願っています。

区の再編で区長をはじめとした職員を5年かけて段階的に減らすなど人件費を削減し、事務作業の集約も行うことで年間およそ6億5000万円の削減効果があると試算されています。

 3歳児の母親
それぞれの区で取り組んでいる子育て支援が集約されて減ってしまわないか不安です。どの地域でも引き続き同じような支援を受けられるようにして欲しいです。

60代女性
町なかの看板の書き換えなど、一時的であれ多くのお金が必要となるのでいつ再編の効果が出るのか心配です。この再編が若い人たちが行政を考えるきっかけになればいいなと思います。

市は、4つなくなる区役所を「行政センター」として残し、オンラインでの手続きを拡大するなどして従来通りの行政サービスは維持するとしています。 一方で、職員の人数が減ってもこれまでと変わらない対応ができるのかが心配されています。

浜松市 鈴木康友 市長
区役所が減って不便になるのではないかという疑問を持っている人もいるので、再編後も住民サービスがしっかりと提供されることは繰り返し説明していきたい

再編後のかじ取りは新市長の手に

4期16年の市政において、最大の懸案に道筋をつけた鈴木市長。ことし4月末に迎える任期満了をもって退任することをすでに表明しています。来年から3つの区でスタートする浜松市の運営がどうなっていくかは、4月の選挙で選ばれる新しい市長に委ねられることになります。 

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