【新型コロナ「5類」に】①何が変わったの?

新型コロナの感染症法上の位置づけが、5月8日、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。何がどのように変わったのでしょうか。医療体制は?治療費は?症状が出たら…?宮城県内の情報をまとめました。

 5月8日放送「てれまさ」より

 5月9日放送「てれまさ」より

 

【皆さんの受け止めは】

「5類」への移行について仙台市内で聞きました。道行く人からは、元の生活に戻ることを期待する声や、感染拡大を心配する声など、さまざまな意見が聞かれました。

(60代女性)
「これからは友達と会う回数を増やしていこうと考えています。お祭りなどのイベントが元に戻ることで、活気が出たらいいと思います」

(別の60代女性)
「5類への移行で少し解放感もあり、うれしい感じがします。マスクを着けるかどうかを含め、自己責任でしっかりと対応していこうと思います」

(5歳の息子がいる30代女性)
「子どもたちは人との接触が多いので、感染しないか心配です。私はしばらくはこれまでどおりマスクをして生活しますが、子どもたちは制限なくのびのびと過ごしてもらいたいです。医療費についてはインフルエンザと同じと考えると負担はしかたがないと思います」

(70代男性)
「5類への移行はまだ早いのではないかと感じています。感染者が増える中で全数把握もされなくなり、知らないうちに広がっているかもしれないと思うと不安です。インフルエンザは流行する時期などが分かっていますが、新型コロナウイルスはどんどん変異して、これからもどうなるか分かりません。私はまだマスクを着けた生活を続けます」

 

【何がどう変わった?】

今回の見直しで、宮城県内の対策はどう変わったのでしょうか。

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■医療体制■
<入院・外来診療>
入院については、最近では県内42の病院で病床を確保していましたが、今後は県内にある病院の88%にあたる116病院で受け入れる方針です。県は、将来的にはすべての病院での受け入れを目指しています。

行政が行ってきた入院患者の受け入れ調整は、原則として医療機関どうしで行うことになりますが、▼症状が重い人や、▼妊娠している女性、▼人工透析を受けている人などで、必要な場合は、保健所や、県の「移行期医療調整本部」が支援します。
外来診療にあたる医療機関も、県はこれまでより増やすとしています。県によりますと、5月8日時点で、県内では720の医療機関が新型コロナの外来診療に対応しているということです。

<宿泊療養>
感染した人の隔離や療養のためホテルで行われてきた「宿泊療養」は終了しました。

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<感染状況の把握>
感染状況は、これまではすべての感染者の数を把握する「全数把握」で毎日公表してきましたが、今後は、あらかじめ指定した県内およそ90か所の医療機関から定期的に報告を受ける「定点把握」に変わります。

発表は週に1回となり、仙台市は毎週水曜日に、県は仙台市の情報も含め毎週木曜日に公表することにしています。

■医療費などの負担■
新型コロナの検査や治療にかかる費用は、これまで公費で賄われてきました。
<検査>
今後、検査については、医療機関で行う場合も、自分で検査キットを使う場合も、自己負担が発生します。自治体による検査キットの配付は終わり、民間のPCR検査も有料となります。

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<医療費>
陽性と判明したあとの外来診療も自己負担があります。入院した場合も医療費などは自己負担が求められますが、急激な負担増加を避けるため、まずは9月末まで、月に最大2万円を軽減する措置がとられています。

<治療薬>
高額な新型コロナの治療薬については、9月末まで引き続き公費で負担されます。

<ワクチン接種>
ワクチン接種は、来年3月までは公費負担です。

■行政からの要請と相談窓口■
<個人の判断に>
新型コロナをめぐり、行政はこれまで法律に基づく行動制限や入院勧告ができましたが、今後、感染したあとの外出などについては個人の判断に委ねられます。

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県は、厚生労働省が示した目安に基づいて、
 ▼発症の翌日から数えて5日目までは外出を控える
 ▼かつ、症状が軽くなってから24時間程度は外出を控える
この対応が推奨されるとしています。

その上で、
 ▼10日が経過するまでは、
 マスク着用や、高齢者などリスクの高い人との接触を控える
などの配慮を求めています。

県が住民や飲食店、事業者に求めてきた感染対策の要請はすべて終わり、自宅で療養する人に食料や日用品を送る支援も終了しました。

<相談窓口>
体調が悪くなった人からの相談は「受診情報センター」で24時間受け付けています。
電話番号は0120-056-203です。

また、仙台市では、5類移行についての問い合わせに応じる専用ダイヤルも設けました。
毎日午前9時から午後5時まで、電話番号090-1666-1076で受け付けているということです。

 

【県医療調整本部は態勢縮小】

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新型コロナ対策に最前線であたってきた行政の担当部署では、態勢が縮小されました。

宮城県新型コロナ調整室に設けられた「医療調整本部」は、これまで、症状が重くなった患者や重症化リスクのある感染者の入院調整を行い、医師や応援の職員を含め、最大で20人余りの態勢をとっていました。

今後は、入院の調整は原則として医療機関どうしで行い、県は、重症者や妊娠している女性、人工透析を受けている人などで必要な場合に支援することになりました。これを受けて「医療調整本部」は「移行期医療調整本部」に名前を変え、医師の常駐がなくなるほか、5月8日の時点で10人ほどの態勢に縮小されました。

新型コロナ調整室では、このほか、▼宿泊療養施設の手配などに最大で50人ほどの職員が、▼また、自宅療養する人への食料などの配送に最大で10人余りの職員があたっていましたが、いずれも終了し、わずかな人員で残務にあたっているということです。

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(宮城県新型コロナ調整室 見田茂紀室長)
「さまざまな業務がなくなり行政の負担は軽減されると思うが、入院調整は長ければ9月まで続く可能性があり、引き続き丁寧に対応していきたい」

 

【ホテルの宿泊療養施設は撤収】

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宮城県では、症状が比較的軽い新型コロナの感染者の療養や隔離のため、3年前の令和2年4月から県内ののべ16か所のホテルに宿泊療養施設を設け、運営してきました。「5類」移行に伴って宿泊療養施設はすべて終了となり、それぞれの施設では撤収作業が行われました。

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おととしから宿泊療養施設が設けられた仙台市宮城野区のホテルでは、5月8日の朝、最後の入所者が退所したということです。受け入れの調整や健康観察などにあたってきた事務局の部屋からは、体温計や血液中の酸素飽和度を測るパルスオキシメーターが入った箱などが運び出されました。また、常駐する看護師などの仮眠室として使われてきた部屋でも、掲示していたものを剥がすなどの作業が行われました。

(委託受けて施設を運営した会社の菊地瞳さん)
「感染者の状況に応じて柔軟に対応しなければならないところに難しさがありました。
最後の入所者が退所して役割が終わり、ほっとしています」

 

【保健所は次への備えも】

保健所でも業務の見直しが行われましたが、次の感染拡大に備える動きも出ています。

仙台市保健所は、ピーク時には100人を超える態勢で、▼重症患者の入院調整や、▼自宅療養する人への支援物資の配送、▼それに毎日の感染者数の把握と公表などにあたってきました。5類への移行でこれらの業務は終了したり縮小されたりして、今はおよそ50人が残務処理などにあたっているということです。

一方で、保健所では、今後も感染が拡大し第9波にあたる大きな流行が起きるおそれもあるとして、新型コロナに対応する今の態勢は当面維持するということです。

高齢者や基礎疾患がある人では引き続き重症化のおそれもあることから、▼高齢者施設などを対象に感染対策について助言するほか、▼一般の人に対しても注意点の呼びかけを続け、▼特に5類移行については問い合わせに応じる専用ダイヤルを設けて対応しています。

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(仙台市保健所 星 努 調整担当課長)
「制度は変わっても、感染が収束したわけではない。再び感染が拡大した場合にも混乱や不安が生じないよう、引き続き、情報提供などに取り組んでいきたい」

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