済界に期待 正直に」
「これからよく相談する」

消費税率の10%への引き上げまで1年を切る中、菅官房長官は19日朝、都内のホテルで開かれた経団連の中西会長らとの懇談会に出席し、引き上げに伴う消費の冷え込みなどを抑えるため一層の賃上げに協力を求めました。

この中で、菅官房長官は「皆さんの企業収益は過去最高で、ことしの春闘では多くの企業で5年連続賃上げを行っていただいた。経団連の調査でも4分の3以上の企業が年収ベースで3%以上の賃上げを実現したという報告を受けている」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「来年の消費税率の引き上げを踏まえて、皆さんには一層の努力を期待したい。これからの3年でデフレを脱却し、経済の好循環を確かなものにしたい」と述べ、来年10月の消費税率の10%への引き上げに伴う消費の冷え込みなどを抑えるため一層の賃上げに協力を求めました。

「経済界に期待 正直に言った」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「消費税の引き上げを見据えつつ経済界に期待をしたいということを正直に言った」と述べました。

また、記者団が「去年、安倍総理大臣は3%と具体的な数字をあげて賃上げを要請したが、数字を掲げるのか」と質問したのに対し、菅官房長官は「現時点では調整していない。総理と話しておらず、わからない」と述べました。

経団連会長「消費縮小は避けたい」

経団連の中西会長は懇談会のあと記者団に対し、「私は以前から、日本の賃金はずいぶん低く抑えられ続けてきたと思っている。来年、消費税率を引き上げる中で消費がぐっと縮むようなことは避けたいというのは経済界も同じ思いだ」と述べ、賃上げに前向きな姿勢を示しました。

そのうえで、来年の春闘にどう臨むかについては「これからよく相談する」と述べ、経団連としての対応は今後、検討するとしました。

経済再生相「来年の春闘が重要」

茂木経済再生担当大臣は閣議のあとの記者会見で、「企業収益の拡大が賃上げや設備投資につながり、所得と生産が拡大し、消費も伸びるという好循環を作り出すことが極めて重要だ。消費税率の引き上げは来年10月なので、その前にもう一段の賃上げを行うため、来年の春闘が非常に重要なタイミングになってくる」と述べました。