3月13日 マスク着用 個人の判断に 多くが事業者判断に

新型コロナ対策としてのマスク着用が3月13日から個人の判断に委ねられます。一方で、高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関を受診する際などは着用を推奨するとしていて、政府は、混乱が生じないように、SNSやテレビCMなども活用して丁寧に周知していく方針です。

新型コロナの感染症法上の位置づけが5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行するのを前に、政府は13日からマスクの着用を個人の判断に委ねます。

一方で、重症化リスクが高い高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関に行ったり、通勤ラッシュのような混雑した電車やバスに乗ったりする時などは、引き続き着用を推奨するとしています。

マスク着用の見直しに合わせて、各業界では、感染防止を定めたガイドラインを改定し、およそ8割の業界でマスク着用を事業者の判断に委ねるとしたということです。

加藤厚生労働大臣は「マスクを着用するかしないかは、個人の判断が基本となる」と述べていて、政府は、実施にあたって混乱が生じないように、SNSやテレビCMなども活用して、丁寧に周知していく方針です。

岸田首相 マスク着用せず官邸入り 着脱の考え方を説明する考え

岸田総理大臣は13日午前8時すぎ、マスクを着用せずに総理大臣官邸に入り、記者団に対し「マスクの着脱は個人の判断に委ねることとなるが、個人の着脱を強制するものではない。私自身、マスクを外す場面が増えると考えている」と述べました。

そのうえで「換気が難しい場面や、高齢者施設を訪れる際など重症化リスクの高い方々と接するような場面では着用をお願いするという考え方を政府としても説明しているが、より具体的な説明を多くの国民の皆さんが戸惑わないような形でしっかり発信していくことは重要だ」と述べました。

羽田空港 “マスク着用”ポスター取り外し

航空会社の業界団体は、政府の方針にもとづいて新型コロナ対策のガイドラインを改定し、乗客をはじめ客室乗務員など従業員もマスクの着用を「個人の判断に委ねることを基本とする」よう見直しました。

これを受けて12日夜、羽田空港ではこれまで出発ロビーや搭乗口付近などに掲示されてきたマスクの着用を呼びかけるポスターが取り外されました。

全日空ではこれまで空港内のおよそ30か所にポスターを掲示するなどしてマスクの着用を呼びかけてきましたが、今後は空港内、機内ともに個人の判断に委ねるということです。

また、空港のカウンターなどに設置してきた飛まつ防止用のパーティションも順次、撤去していくということです。

全日空CX戦略部の久沢弘太郎部長は「急に全員がマスクを外すということではなく、これから個々の判断で徐々に変わっていくものだと思っているが、重要なのはお客様や従業員の判断を尊重して認め合うことであり、航空会社としてトラブルがないように対応していきたい」と話していました。

業種別ガイドライン見直し 多くが“事業者の判断に委ねる”

国はマスクの着用が個人の判断に委ねられる13日を前に、各業界団体に対して195ある業種別ガイドラインを見直し、現場や利用者へ周知するよう呼びかけています。

内閣府によりますと、3月10日の時点で187のガイドラインで見直しが完了したということです。

このうち、「業界団体として事業者の判断に委ねる」とした対応が最も多く、ホテルやプロ野球、遊園地など153のガイドラインとなっています。

一方、業界として事業者に一律の取り扱いを定めているものもあり、「従業員のマスク着用を求める」が郵便やエステなど18、「従業員と利用者のマスク着用を求める」がプロゴルフやプロバスケットボールなど16のガイドラインとなっています。

このほか、8つのガイドラインが「業界内で取り扱いを検討中」などとなっていて、内閣府はマスクの着用について必要に応じて事業者のホームページを確認したり、イベントの主催者に問い合わせてほしいとしています。

マスク着用が効果的な場面は

マスクの着用が効果的な場面について厚生労働省は、医療機関を受診する時や、重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設などを訪問する時、人が密集している通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗車する時の3つの場面だとしたうえでリーフレットなどで国民に対して周知しています。

このほか高齢者やがんなどの基礎疾患、そして妊娠している女性など重症化リスクの高い人が流行期に混雑した場所に行く時にもマスクの着用は効果的だとしています。

一方、症状がある人や感染者本人、同居する家族に感染者がいる人は周囲に感染を広げないため外出を控え、通院などでやむをえず外出する場合は人混みを避けマスクを着用するよう求めています。

そして、重症化リスクの高い人が多くいる医療機関や高齢者施設などの職員については勤務中のマスクの着用を推奨するとしています。

厚生労働省は「マスクを着用した方がいい場面を示しているので、参考にしてもらいながら、場面に応じて個人で判断してほしい」としています。