健保組合4割が
「財政支援を検討」厚労相

大企業の従業員らが加入する健康保険組合の昨年度(平成29年度)の決算の見込みは、加入者の増加で保険料収入が増え4年連続の黒字となりましたが、高齢者の医療費を賄うための負担金が増えたことなどで黒字額は前の年度より40%余り減少しました。一方、赤字となった組合は580となり、全体のおよそ4割を占めています。

健保連=健康保険組合連合会によりますと、全国の健康保険組合の昨年度の決算の見込みは、パートなど短時間労働者の加入者の増加で、収入は前の年度より2.98%増え、8兆1999億円となりました。

これに対して、支出は高齢者の医療費を賄うための負担金が増えたことなどから、前の年度より4.41%増えて8兆653億円となりました。

このため、収支は1346億円で4年連続の黒字となりましたが、黒字額は前の年度よりおよそ43%減少しました。

また赤字となった組合の数は、前の年度より39増えて580となり、全体の1394組合のおよそ4割を占めています。

一方、加入者が納める保険料率の平均は9.167%で、前の年度より0.057ポイント増加し、過去最高となっています。

健保連の副会長「早急な制度の見直しを」

健保連=健康保険組合連合会の佐野雅宏副会長は記者会見で、「高齢者の医療費を賄うための負担金の増加は保険料率の引き上げで対応するしかなく、現役世代に大きな負担を強いている今の制度はおかしい。高齢者の負担を増やすことも含め、早急な制度の見直しが必要だ」と述べ、75歳以上の後期高齢者の窓口負担を増やすなど、制度を見直すべきだという考えを示しました。

厚労相 支援策強化の方針

健康保険組合の解散が相次いでいることを受け、加藤厚生労働大臣は健康保険組合を維持するため、財政支援を行うことも含め支援策を強化する方針を示しました。

健康保険組合をめぐっては、高齢者の医療費を賄うための負担金などによる財政の悪化で解散が相次いでいて、先週には全国3番目の加入者を抱える「人材派遣健康保険組合」が今年度いっぱいでの解散を決めました。

これについて、加藤厚生労働大臣は閣議の後の記者会見で「健康保険組合は公的医療保険制度の重要な担い手の一つであり、大変重く受け止めなければならない」と述べました。

そのうえで「健康保険組合に対する財政支援を行うことなどを検討している」と述べ、健康保険組合を維持するために、財政支援を行うことも含め支援策を強化する方針を示しました。

一方で、高齢者の医療費を賄うための負担金については「かなりの割合で負担してもらっているが、高齢者医療は国民全体で支える制度であり、理解をいただき負担をお願いしていきたい」と述べるにとどめました。