安倍元首相の国葬 学校に半旗掲揚や黙祷の弔意表明求めず

永岡文部科学大臣は、9月27日に予定されている安倍元総理大臣の「国葬」にあたって、教育委員会や学校に対し、半旗の掲揚や黙とうによる弔意表明の協力は求めないという考えを示しました。

安倍元総理大臣が先月銃撃されて亡くなったことを受けて、仙台市や大阪 吹田市などの教育委員会は、市内の小中学校に弔意を示す半旗を掲げるよう通知し、専門家などからは「教育の政治的中立」に反する対応だという指摘も出ています。

こうした中、永岡文部科学大臣は記者会見で、9月行われる安倍元総理大臣の「国葬」での対応について「国葬儀の実施にあたって、国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないよう、地方公共団体や教育委員会などに対する弔意表明の協力の要望は行うことはない」と述べ、教育委員会や学校に対し、半旗の掲揚や黙とうによる弔意表明の協力は求めないという考えを示しました。

また、新学期を迎える学校での感染対策について、永岡大臣は、手洗いなどの基本的な対策を徹底したうえで、熱中症のリスクを考慮し、体育の授業や部活動、それに登下校の際はマスクを着用する必要はないという認識を示しました。

松野官房長官 国葬の警備費用など終了後に公表

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって、松野官房長官は、会場周辺の警備費用など、支出を決めたおよそ2億5000万円に含まれないものは、「国葬」が終わったあとに公表する考えを示しました。

安倍元総理大臣の「国葬」を前に政府は、先週、会場の設営費などとして、今年度予算の予備費からおよそ2億5000万円を支出することを決めた一方、会場周辺の警備や海外の要人の接遇にかかる費用などは含まれていません。

松野官房長官は記者会見で、会場周辺の警備などに見込まれる費用の規模について「要人の数や各国首脳との会談の有無などが不確定であり、現時点で確たることを言える段階にない」と述べました。

そして、こうした費用は既定の予算で対応する方針を重ねて説明し「国葬」が終わった後に精査したうえで、公表する考えを示しました。

国民 玉木代表 “総理は国会で丁寧に説明を”

安倍元総理大臣の「国葬」について、国民民主党の玉木代表は記者会見で「国民も必要な費用の総額などを知りたいと思っている」と述べ、岸田総理大臣が国会で丁寧に説明すべきだという考えを示しました。

この中で、玉木代表は、安倍元総理大臣の「国葬」について「海外からも弔問客が多数来ると言われているので、国費を投じることは理解するが、反対の人や納得できない人も多数いる。総額がいくらになるのか、弔意をどれほど求めるのか・求めないのかは、国民も具体的に知りたいと思っている」と指摘しました。

そのうえで、岸田総理大臣が、党首会談などを通じて各党に理解と協力を求めるとともに、国会の場で、具体的な費用などについて、丁寧に説明すべきだという考えを示しました。

また、立憲民主党の新たな執行部体制について、玉木氏は「政策本位で一致できるところがあれば、立憲民主党でも自民党でも、協力連携していく」と述べました。

維新 遠藤国対委員長 “総理みずから説明を”

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、衆議院議院運営委員会の与党側の筆頭理事を務める自民党の盛山正仁氏と会談しました。

遠藤氏は「『国葬』に対する世論が分かれており、国民の理解を得るためには、岸田総理大臣みずからが丁寧に説明する必要がある」として、岸田総理大臣が閉会中審査に出席して、開催の理由などを説明するよう要請しました。

これに対し、盛山氏は「政府・与党に伝え、対応を考えたい」と応じました。

このあと、遠藤氏は記者団に「与野党の政局の中での『国葬』にはしたくない。一人でも多くの国民の理解をいただけるよう、国会としても努力すべきだ」と述べました。

立民 維新 国葬めぐり総理の国会閉会中審査への出席要求で一致

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、立憲民主党と日本維新の会の国会対策委員長が会談し、岸田総理大臣が説明責任を果たす必要があるとして、国会の閉会中審査への出席を求めていく方針で一致しました。

立憲民主党の安住国会対策委員長と日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、来月の安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって意見を交わしました。

その結果、「国葬」を行う根拠や費用の総額が明らかになっておらず、岸田総理大臣が説明責任を果たす必要があるとして、国会の閉会中審査への出席を求めていく方針で一致しました。

また、31日、野党6党の国会対策委員長らが集まって、対応を協議することも確認しました。

安住氏は記者団に「2億5000万円以外の警備などの経費をあとから明らかにするというのはどうなのか。事前に全部わかるはずなので、開示して、岸田総理大臣が直接国会で説明すべきだ。『国葬』への賛否は各党で違うが、説明責任を果たすべきというのは共通の認識だ」と述べました。