「黒い雨」裁判 “原告への
被爆者手帳交付手続き完了”

菅総理大臣は、広島市で開かれた平和記念式典であいさつし、いわゆる「黒い雨」をめぐる裁判の原告への被爆者健康手帳の交付手続きが完了したと明らかにしたうえで、同じような事情にあった人たちも救済できるよう早急に検討を進める考えを示しました。

この中で、菅総理大臣は「76年前、1発の原子爆弾の投下によって、十数万とも言われる貴い命が奪われ、広島は一瞬にして焦土と化した。しかし、その後の市民の皆様のたゆまないご努力により、廃虚から見事に復興を遂げた広島の美しい街を前にした時、改めて平和の尊さに思いを致している」と述べました。

そのうえで「核軍縮の進め方をめぐっては、さまざまな立場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要がある」と述べ、核軍縮に向けた考えを強調しました。

また、広島への原爆投下直後にいわゆる「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたと住民などが訴えた裁判で、上告しなかったことについて「熟慮に熟慮を重ね、被爆者援護法の理念に立ち返って、上告を行わないことにした」と述べ、84人の原告への被爆者健康手帳の交付手続きが6日までに完了したことを明らかにしたうえで、原告と同じような事情にあった人たちも救済できるよう早急に検討を進める考えを示しました。

そして「核兵器のない世界と恒久平和の実現に向けて、力を尽くすことをお誓い申し上げる」と結びました。