臨時国会召集に安倍内閣
応じず 違憲の訴え退ける

4年前、森友学園や加計学園の問題を追及するため、4分の1を超える議員が臨時国会の召集を要求した際、当時の安倍内閣が3か月余りにわたって召集しなかったことに対し、議員が憲法違反だと訴えた裁判で、岡山地方裁判所は訴えを退ける判決を言い渡しました。

平成29年6月、通常国会が閉会したあと衆議院の120人、参議院の72人の議員が森友学園や加計学園の問題について審議する必要があるとして、臨時国会の召集を求めたのに対し、当時の安倍内閣は応じず、98日後の9月に召集して冒頭で衆議院を解散しました。

当時、民進党に所属し、現在は無所属の高井崇志衆議院議員は、衆参いずれも4分の1を超える議員が要求したにもかかわらず内閣が3か月余り召集しなかったのは憲法違反だとして、国に賠償を求める訴えを起こしていました。

これに対し、国は「裁判所が司法審査を行うことは、憲法が定めた内閣と国会との関係を損なうことになりかねない」と主張していました。

13日の判決で、岡山地方裁判所の野上あや裁判長は「内閣は憲法に基づく召集要求がされたあと合理的期間内に臨時国会を召集する法的義務があり、召集の決定が憲法に違反すると評価される余地はある」と指摘しました。

そのうえで「国会議員の利益は国民全体のもので、内閣は召集を要求した個々の国会議員に対し賠償義務を負わない」として訴えを退けました。

原告側「違憲判断せず遺憾」

原告の代理人を務める賀川進太郎弁護士は、判決のあと記者会見し「内閣には合理的な期間内に臨時国会を召集する法的な義務があると指摘した点などは評価できる。それなのに違憲という判断をしなかったことは誠に遺憾で納得できない」と述べ、判決を不服として控訴したことを明らかにしました。

また、判決が違憲と評価される余地があると指摘した点について「憲法の条文の解釈として違憲の余地があると指摘しており、この点は評価できる。ただ、今回の訴えについて違憲かどうか踏み込んで指摘しなかったのは残念だ」と述べました。

内閣官房「原告の請求は棄却と承知」

判決について、内閣官房の内閣総務官室は「原告の請求は棄却されたものと承知している」とコメントしています。

加藤官房長官「見解は差し控える」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「判決内容を含め、詳細を承知しておらず、地裁の判決そのものが確定しているわけではない。関連して2件の訴訟も現在、控訴審で係争中であり、判決の内容について、国として、法廷外で見解を述べることは差し控える。なお、平成29年の臨時国会召集は適切に行われたものと承知している」と述べました。