愛媛玉串料訴訟の裁判記録
地裁倉庫の段ボール箱で発見

最高裁判所が政教分離をめぐって初めて憲法違反と判断した裁判で、すでに廃棄したとされていた「愛媛玉串料訴訟」の裁判記録が、松山地方裁判所で見つかりました。戦後の民事裁判記録は数多く廃棄されていたことが明らかになっていて、専門家は「裁判所は記録の確認を進めてほしい」としています。

見つかったのは愛媛県が公費から玉串料などを支出したことが、政教分離を定めた憲法に違反するかどうかが争われ、平成9年に最高裁が初めて違憲判決を出した「愛媛玉串料訴訟」の裁判記録です。

裁判所はこの記録をすでに廃棄したとしていましたが先月、松山地裁の職員が倉庫の中から段ボール2箱に入った21冊の記録を発見したということです。

民事裁判の記録は確定後5年間、1審が行われた裁判所に保存されることになっていますが、重要な判断や歴史的な価値がある裁判は「特別保存」として、その後も残される仕組みがあります。

しかし、この運用が形骸化し、戦後の重要な裁判記録が裁判所で数多く廃棄されていたことが明らかになったことから、最高裁は去年特別保存の新たな基準を全国の裁判所に通知しています。

見つかった記録について松山地裁は「速やかに特別保存する手続きを進めたい」としています。

裁判記録の保存に詳しい青山学院大学元教授の塚原英治弁護士は「歴史的な違憲判決であり、記録が残っていたことはよかった。おそらく同じように貴重な記録が残されているケースはあると思われるので、全国の裁判所は確認を進めてほしい」と話しています。