衛星放送事業認定の問題
総務省と東北新社説明に違い

衛星放送関連会社「東北新社」の衛星放送事業の認定をめぐる問題で、会社側は参議院予算委員会で放送法の外資規制違反に気付いた時点で総務省に報告したと説明しました。
一方、総務省側は報告を受けたことは確認できていないと述べました。

「東北新社」は、2017年1月に放送法の外資規制に違反した状態だったにもかかわらず、事実と異なる申請を行って衛星放送事業の認定を受けていたことが明らかになり、総務省が子会社が継承している事業認定を取り消す方針です。

参議院予算委員会に参考人として出席した中島信也社長は、事業認定を受けたあと2017年8月に違反に気付いたと釈明しました。

その後、すぐに総務省の幹部を菅総理大臣の長男とともに接待した管理職が当時の総務省担当局の総務課長に面談して報告したと説明しました。

また、その際、東北新社側から違反状態を解消するために事業認定を子会社に継承するアイデアを出したと述べました。

一方、総務省はこれまで事業認定後も違反に気付かず2017年10月に子会社への継承を認めていたとしています。

吉田・情報流通行政局長は、当時の総務課長が「報告を受けた覚えはない。そのような重大な話なら覚えているはずで、口頭で済むような話ではない」と話していることを明らかにしました。

立憲民主党は「覚えていないのは不可解だ。総務省は違反を確認した時点で認定を取り消すべきだったのに子会社への継承も認めており、二重に違法を重ねたことになる」と指摘しました。

武田総務大臣は「いろいろなところで両者にそごがあり、一方の話だけを信じると非常に危険な状況になる。週内に設置する第三者委員会に真相究明に努めてもらえるよう国会の意見を報告したい」と述べました。

加藤官房長官「疑念招くことない形で客観的 公正に検証」

加藤官房長官は午後の記者会見で記者団から「総務省と東北新社の国会での説明が食い違っており総務省の調査には限界があるのではないか」と問われたのに対し「そうした疑念もあるので、検証委員会は検事経験者も含めた第三者の有識者で構成され、調査内容や調査方法についても第三者性を非常に重要視して運営する。疑念を招くことがない形でしっかりと客観的、公正に検証を進めていただくものと承知している」と述べました。

自民 二階幹事長「対策を講じることは当然」

自民党の二階幹事長は記者会見で「われわれは総務省を信頼しており、総務省がしっかりと対応すべきだ。外資規制違反については総務省の審査の問題であり、より審査を強化して誤りのないような対策を講じることは当然だ」と述べました。

立民 福山幹事長「より疑惑が深まった」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に「総務省と東北新社の社長の答弁には大きなそごがある。東北新社側は対応した課長名まで出して面談したと言っているので、総務省の説明には無理があり、より疑惑が深まった。接待による影響や菅総理大臣の長男の関わりなど、まだはっきりしていない点が多々あり真相究明していく」と述べました。

共産 小池書記局長「真相は語られなかった」

共産党の小池書記局長は記者会見で「2人の社長はおわびを連発したが真相は語られなかった。外資規制の問題で『東北新社』側が総務省に報告したと言っているのに、当時の総務省の課長が聞いていないというのはどう考えても不自然だ」と述べました。

総務省担当局の総務課長を招致へ 与野党が合意

集中審議のあと参議院予算委員会の理事会が開かれ、東北新社が外資規制に違反しているおそれを報告したとする当時の総務省担当局の総務課長を招致することで与野党が合意しました。

また、野党側は東北新社の中島社長とNTTの澤田社長の2人を今後の審議にも参考人として出席させるよう求め引き続き協議することになりました。