首相 宣言の2週間程度延長
の考え 改めて示す

菅総理大臣は、参議院予算委員会で、首都圏の1都3県に出している緊急事態宣言について、今月7日までの期限を2週間程度延長する方向で検討する考えを改めて示し、病床のひっ迫状況などが厳しい中、感染拡大を防ぎ、国民の命と暮らしを守るために必要な措置だと理解を求めました。

自民党の徳茂雅之氏は、菅総理大臣が3日夜、緊急事態宣言の期限を今月7日から2週間程度延長する方向で検討する考えを示したことについて「感染拡大に対する不安の声がある一方で、一刻も早く緊急事態宣言を解除してほしいという声もある。判断に至った考えを聞きたい」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「1都3県について、感染症を押さえ込むため、大変重要な局面にある。病床のひっ迫など、いまだ厳しい指標があり、国民の命と暮らしを守るために2週間程度の延長が必要ではないか。専門家や関係者の意見も十分に聴いたうえで、最終的に判断をしていきたい」と述べました。

また、政府の分科会の尾身会長は、緊急事態宣言の延長について「医療への負担軽減がもうしばらく改善の方向に行くことが必要だ。また、首都圏は人口密度が高く、人の流れ=人流(じんりゅう)も多いため、リバウンドの可能性がほかの地域よりも高く、準備体制の強化が求められる。延長の方向性は正しい選択だ」と述べました。

公明党の西田参議院会長は「接触確認アプリ『COCOA』など、多くのデジタル関連のトラブルが発生している。コロナ対応で構築されたシステムの相次ぐ不具合を見て、デジタル庁の創設でどう変えていくのか」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「今回の感染症では、行政サービスや民間におけるデジタルの遅れが浮き彫りになった。役所に行かなくてもあらゆる手続きができる、世界に遜色のないデジタル社会を作りたい。デジタル庁は、縦割りを排した強力な組織として、国全体のデジタル化を主導していく」と述べました。

公明党の佐々木さやか氏は、障害者へのワクチン接種をめぐり「『介助者に付き添ってもらえるのか』という心配の声もある。集団接種の会場で、必要な配慮や支援がなされるようにするとともに、かかりつけ医や、在宅などでの個別接種が選択できるようにもすべきだ」と指摘しました。

これに対しワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣は「接種会場における音声による案内や、介助者に一緒に行ってもらうことなどができるよう、自治体に努力をお願いしたいし、かかりつけ医での個別の接種も可能だ。さまざまな配慮をして、円滑にワクチン接種を受けてもらえるように、自治体にお願いをしていきたい」と述べました。

加藤官房長官「自治体と緊密連携 必要な対策検討」

加藤官房長官は、午前の記者会見で「緊急事態宣言の延長に当たっての考え方は、病床のひっ迫などを踏まえてのものだ。厚労省の専門家会合で、今後必要な対策の提言がなされており、自治体と緊密に連携して必要な対策を検討していきたい」と述べました。

また、菅総理大臣が、宣言の解除にあたっては病床の使用率がさらに減少する必要があるという認識を示したことをめぐり、記者団が「基準を事前に示すべきではないか」とただしたのに対し「これまでも基本的対処方針において、緊急事態宣言を実施すべき地域が『ステージ3』相当の対策が必要な地域かが目安になっている」と述べました。

一方、聖火リレーが今月25日からスタートすることが宣言の扱いの判断に影響したかどうか問われたのに対し「緊急事態宣言の議論にあたって聖火リレー、あるいは東京オリンピック・パラリンピックは全く要素に入っていない」と述べました。

自民 森山国対委員長「数字を見て あす一定の方向示すだろう」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「菅総理大臣としては、いろいろな感染状況の数字を見たり、関係する知事の発言などを考えて、2週間くらいの延長が必要なのではないかということだと思う。そのために、数字をしっかり見て、あす一定の方向を示すだろう」と述べました。

立民 安住国対委員長「根拠を納得するような形で」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「決められた指標を下回っているにもかかわらず、なぜ延長するのか。菅総理大臣が自分で決断したと言っているので、根拠を納得するような形で示してほしい」と述べました。

立憲民主党の泉政務調査会長は、記者会見で「政府が当初から言ってきた解除基準は、ほぼ意味をなさなくなっていると思う。何に依拠して判断しているかが不透明、不明確と言わざるをえない。わかりやすい基準を明示することが、まず求められる」と述べました。

公明 山口代表「医療体制ひっ迫緩和の取り組みが重要」

公明党の山口代表は、党の中央幹事会で「きのう、菅総理大臣から電話があり、『2週間程度、期間を延長する方向で検討していきたい』という話があった。延長の方向性が示されたので、1都3県の感染を一層下降トレンドに導くとともに、医療体制のひっ迫を緩和していく取り組みが重要だ」と述べました。

そのうえで「注意しなければならないのは、変異株の感染拡大だ。日本では、まださほどではないが、徐々に日を追うごとに増えている傾向がみられる。従来のウイルスにとって代わるような状況が起きないよう、対応策をしっかりと取っていくことが必要だ」と指摘しました。

共産 志位委員長 「後手批判かわすための演出」

共産党の志位委員長は、記者会見で「2週間の延長の判断はやむをえないが、なぜこの期間で、一体何をやるのかが菅総理大臣からは示されておらず、『後手批判』をかわすための演出だと言われても仕方がない。結果として再延長を余儀なくされたことは政府の対策に限界があるということで、どこが問題で、どう打開していくか、国民への説明が必要だ」と述べました。

国民 玉木代表 「解除基準や戦略 国民に説明を」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「変異株という新たな要素もあるので、延長は妥当だ。ただ、専門家の意見をしっかり聞いたうえで判断すべきで、政治的な意図や雰囲気で決めることはあってはならない。また、単に延長するだけでは0点で、菅総理大臣は今後の解除基準や、そのための戦略を明確に示し、国民に説明するべきだ」と述べました。