衆院予算委 首相が陳謝
「長男関係 心からおわび」

総務省の幹部が衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男などから接待を受けていた問題について、衆議院予算委員会の集中審議で、菅総理大臣は「心からおわびを申し上げる」と陳謝しました。一方、武田総務大臣は「行政がゆがめられたという事実は確認されていない」と述べました。

立憲民主党の奥野総一郎氏は、総務省の幹部が衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男らから接待を受けていたことについて「菅総理大臣の長男がいるから、断れなかったというのはあると思う。長男が、利害関係のある地位にあることが空気を作った原因ではないか。菅総理大臣に原因があるのではないか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「私の長男が関係して、結果として、公務員が倫理法に違反する行為をすることになったことについて、心からおわびを申し上げ、大変申し訳なく思う」と陳謝しました。

また、菅総理大臣は「長男が衛星放送関連会社に入社する時、総務省とは距離をおいてつきあうように、言ったことを覚えている」としたうえで、長男が、総務省の幹部と会食を重ねていたことについて「驚いた」と述べました。

一方、武田総務大臣は「多くの疑念を招くことに至ったことを、おわび申し上げたい。双方の当事者に調査を行い、その段階で、行政がゆがめられたという事実は確認されていない。決して真実を包み隠すことがないよう申し伝えたし、できるかぎりの調査をしてもらったと、私は信じている」と述べました。

さらに、総務省の谷脇総務審議官と吉田総務審議官は、いずれも、当時は、会食に利害関係者がいるという認識はなかったとしたうえで、陳謝しました。

谷脇総務審議官は「去年10月の会合で、放送市場の動向や、衛星放送関連会社の事業などについて、話題が出た可能性があるが、衛星料金低減の要望について話があったという記憶はない」と述べました。

また、吉田総務審議官は「放送一般の意見交換といった会話がなされても不自然ではないが、個別具体的に、許認可に関するとか、不適切な働きかけといったものがあったとは、全く記憶にない」と述べました。

一方、総務省の原官房長は、菅総理大臣の長男から聴き取った内容として「当初の調査で『通常の意見交換だ。個別の利害に関する話題はなかった』というふうに報告を受けた。この土日にまたヒアリングを行い『改めて記憶を思い返したところBSやCSなど、放送業界全体の実情に関する話や、グループ会社の話題が出たのだと思う。不適切な働きかけや、行政をゆがめる行為は行っていない』との報告を受けた」と述べました。

自民 二階幹事長「事実であれば大変遺憾 反省してもらいたい」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「細かい報告は、まだ受けていないが、事実であれば大変遺憾なことであり、しっかりと反省の上、今後、このようなことが起こらないように対応してもらいたい」と述べました。

一方、政権運営への影響については「政権はあらゆることに目配りしていかなければならないので、何の影響もないというわけにはいかないが、特に影響があるとは考えていない」と述べました。

立民 枝野代表「厳しい視点で見ていかなければならない」

立憲民主党の枝野代表は、党の役員会で「驚くべきは、菅総理大臣のそばで情報発信を担う内閣広報官も客単価7万4203円の接待を受けていたことだ。いったいどこの店なのか。総理の息子が関わっている点も問題だが、今どきこんなことが堂々と行われているのかと、まさに20年、30年、時代が戻ってしまっている状況だ。厳しい視点でこの問題を見ていかなければならない」と述べました。