総務省の秋本局長 “首相
長男は利害関係者と認識”

衆議院予算委員会では19日午後も、総務省の幹部と衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男との会食をめぐって質疑が行われました。

この中で、20日付けで大臣官房付に異動する総務省の秋本情報流通行政局長は、菅総理大臣の長男が勤める衛星放送関連会社について「総務省の所管する事業を手がけている認識はなかった」と述べました。

そのうえで、長男が利害関係者にあたるか、今の認識を問われ、「子会社である『衛星基幹放送事業者』の役員を兼任しているので、利害関係者だと認識している」と述べました。

また、長男らと会食し秋本局長と同様に20日付けで異動する湯本審議官は「子会社の事業に関する話題はなかったと記憶している。放送一般となると、全く無かったかは記憶にないとしか申し上げられない」と述べました。

一方、武田総務大臣は、会食の音声データが報じられたことを踏まえ「総務省の調査に至らないことがあった点は、素直におわびしたい」と陳謝したうえで「公務員が、中立性や公正性に疑念を持たれることは、絶対にあってはならず、徹底的に調査する」と述べました。

2人の幹部も国会出席へ

総務省の幹部4人と衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男との会食をめぐり、衆議院予算委員会は、審議のあとの理事会で、今後の対応を協議しました。

その結果、与野党は「新たな情報が報道で出てきており、さらに踏み込んで事実関係を確認する必要がある」という認識で一致しました。

そして、これまで国会で答弁していない谷脇総務審議官と吉田総務審議官についても、週明け22日に開かれる集中審議に参考人として出席を求め、質疑を行うことで合意しました。

加藤官房長官「政府として真摯に対応」

加藤官房長官は、午後の記者会見で、記者団から、今後も異動する2人の幹部を国会に参考人として出席させるのかと問われ「一般論として申し上げれば、国会での運営は国会でお決めになることであり それを踏まえて、政府としては、真摯(しんし)に対応していくのが変わらない基本姿勢だ」と述べました。

一方、会食の音声データの内容については「公というか、組織の中における議論ではないと承知している。そういった場で個人がどう発言されているかについて政府としてコメントするのは差し控えたい」と述べるにとどめました。

原官房長 “これまでの調査が不十分だった”

「文春オンライン」で会食の音声データが報じられたことを受け、総務省が改めて、会食した幹部や菅総理大臣の長男らから聞き取りを行うことについて、原官房長は、衆議院総務委員会で「これまでの調査では『会食で個別具体的な利害にわたる話は出なかったのか』という聞き方をして『BSやCSなどの話は出なかった』ということだったが、ちょっと具体性を欠いた質問だった点は反省したい」と、これまでの調査が不十分だったとの認識を示しました。

立民 辻元副代表「ふざけた答弁 反省の色見えない」

立憲民主党の辻元副代表は「はじめからさっさと本当のことを言えばいいのに、きょうも『私は記憶力が悪い』とふざけた答弁をし、反省の色が見えない。父親が総理大臣なのを利用して、息子が自分の仕事で有利なことを総務省にやらせようとしていたならば大きな問題で、動機や背景を解明しないといけない」と述べました。

また、総務省の幹部2人の異動については「トカゲのしっぽ切りみたいだ。更迭したから終わりというわけにはいかない」と述べました。