森会長発言
政界の反応(5日)

組織委員会の森会長は、JOC=日本オリンピック委員会の評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことについて、4日「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だった。深く反省している」として、発言を撤回し謝罪しました。

5日の政界の反応です。

菅首相「政府の考え方を強く伝えるよう指示」

菅総理大臣は、衆議院予算委員会で「オリンピック・パラリンピックの重要な理念である男女共同参画を考えた時、あってはならない発言だ。きのう、橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣に対し、森会長に、政府の考え方を強く伝えるよう指示をした。森会長から『大変申し訳なく、東京大会の成功に向けて、最後まで努力したい』との発言があったと報告を受けている」と述べました。

加藤官房長官「IOCは問題終了と考えているとの見解」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で、東京大会への影響について「森会長は発言について謝罪し、IOCはこの問題は終了と考えているとの見解を表明したと承知している」と述べました。

そして、記者団が、森会長の4日の記者会見では謝罪の意図が十分に伝わっていないのではないかと質問したのに対し「政府や私が個人的に見解を申し上げるのは適切ではない。ただ、発言に関するさまざまな批判もある。東京オリンピック・パラリンピックは国民はもとより、国際社会の協力と理解のもと進められていくべきもので、政府としても、そうした立場で準備を進めていきたい」と述べました。

また加藤官房長官は、森会長が辞任する必要があるかどうか問われたのに対し「森会長の人事は大会組織委員会がそもそも決めていることで、IOCが、この問題は終了という見解を表明している」と述べました。

橋本五輪相 IOCバッハ会長と電話会談

橋本オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し、4日夜、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長と電話で会談したことを明らかにしました。

そのうえで「バッハ会長からは『組織委員会から、森会長が発言を撤回し、謝罪したという報告を受けて、IOCとして、その部分はよく理解した。引き続き、東京大会の成功に向けて努力してほしい』という話があった。私からは『しっかりと全力を尽くしてやっていく』と申し上げた」と述べました。

萩生田文科相「発言内容は不適切」

萩生田文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「発言内容は不適切だと思う。本人も反省しているので、残り半年になったオリンピックの大会の成功に向けて引き続き努力してほしい」と述べました。

上川法相「女性の比率を30%進める」

上川法務大臣は閣議のあとの記者会見で「日本社会はさまざまな分野において、指導的地位に占める女性の比率を30%にしようという方向性にあるが、今回の発言で、こうした流れがストップすることのないよう、進んでいかなければいけない」と述べました。

平沢復興相「極めて残念 復興五輪に影響ない」

平沢復興大臣は、閣議のあと記者団に対し「オリンピックを控えて、いちばん大事な時期であり、全世界の女性に、いわれのない差別をしていると思われかねず、極めて残念だ」と述べました。

そのうえで記者団が「復興五輪」に与える影響を質問したのに対し「特にないと思う。発言によって、オリンピックができなくなるとか、難しくなるということはないよう、しっかりやりたい」と述べました。

スポーツ庁 室伏長官「我々は全ての女性の味方」

スポーツ庁の室伏広治長官は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言について「我々は日本のスポーツ界の古き悪しき習慣を根絶するため、競技団体に女性理事の割合40%以上などの達成に向けた方策を講じることを強く求めてきた。ジェンダーの平等の理念を行動に移すことは、オリンピック・パラリンピックの開催国として大変重要な取り組みだと認識している。我々は全ての女性の味方であり、今後も女性が輝くことができる環境作りに、また感動してもらえるスポーツ界を目指して、真摯に取り組んでいく」などとするコメントを出しました。

自民 佐藤総務会長「撤回したので一丸となって」

自民党の佐藤総務会長は記者会見で「森会長はわれわれの先輩でもあるが、決して適正な発言ではなかった。世界的にいろんな波紋を広げていて、菅総理大臣も『あってはならない発言だ』と言っている。森会長が発言を撤回したので、一丸となって東京オリンピック・パラリンピックに向けて対応は進めていかないといけない」と述べました。

自民 世耕参議院幹事長「余人をもって代えがたい」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「森会長が謝罪と撤回、反省の弁を述べ、IOCのバッハ会長も了とする反応だと聞いているので、この件はここで収めて、開催に向けて準備にまい進することが重要だ」と述べました。

また、記者団が「世界中から反発が出る中で、森会長が辞任せずに大会を開催できると考えるか」と質問したのに対し、「余人をもって代えがたいところがある。IOCとの人脈やこれまでの知見などから、この直前のタイミングで、森会長以外に開催を推進できる人がいるだろうか」と述べました。

公明 石井幹事長「猛省を 出処進退は自身で判断」

公明党の石井幹事長は記者会見で「極めて不適切な発言であり、遺憾だ。男女共同参画を目指す社会の潮流と逆行し、オリンピックの精神からも逸脱している。森会長は猛省してもらいたい」と述べました。

そして、記者団が「森氏が組織委員会の会長を続けるべきだと考えるか」と質問したのに対し、「総理大臣まで務めた方なので、出処進退は自身で判断されると思う」と述べました。

共産 田村政策委員長「トップにふさわしいのか問われる」

共産党の田村政策委員長は記者会見で「きのうの森会長の会見は謝罪になっていなかった。森氏の発言はジェンダー平等や多様性などを否定するもので、公的な組織のトップにふさわしいのかが極めて厳しく問われる局面だ。菅総理大臣にその認識がないことも問題だ」と述べました。

秋田 佐竹知事「会長を辞めるべきだと思う」

秋田県の佐竹知事は報道陣の取材に対し「女性蔑視の発言は国際的に問題視されて印象が悪い」と述べました。

そのうえで「選手団や選手によっては大会のボイコットということにもなりかねない。私としては組織委員会の会長を辞めるべきだと思う」と述べました。