【スポーツ界反応】
森会長 女性めぐる発言

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言をめぐるスポーツ界の反応です。

組織委 荒木田裕子理事「残念 今後は各方面に配慮して」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の荒木田裕子理事は、今回の森会長の発言に対して「あのようなことばを使ったのは残念。はやく撤回してほしいと思っていた」としたうえで「森会長のことばはすぐ世界に発信される。特に今の状況で森さんの発言は一つ一つ注目されているのでより意識してほしい」と話しました。

今後については「森会長はここまできたら最後まで突っ走るしかないと思う。スポーツを愛していて東京大会を成功させたいという思いはわかっている。今後は各方面に配慮してもらいたい」と話しました。

JOC山口香理事「残念でならない」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言について、JOC=日本オリンピック委員会の山口香理事が取材に応じ「多様性の重視が東京大会のコンセプトに含まれている中で、組織委員会のトップがこのような考えを持っていることが世界に発信されたことは残念でならない」と話しました。

これまでスポーツ界での女性の登用に尽力してきた山口理事は、きのうのJOCの評議員会にオブザーバーとしてオンラインで参加していたということで、「初めに発言を聞いたときはおっしゃっている意図が理解できなかった」と振り返り「理事会が時間がかかる」という発言については「女性が入ることで議論が活発化したのであれば、喜ぶべきことだ」と述べました。

そのうえで東京オリンピック・パラリンピックへの影響については「中止や延期を求めている方が多いと感じているなかで、オープンな議論を行うことで国民に安心感を与えたり、世界にメッセージを出したりすることが大事だと思ってきた。今回の発言は議論をすること自体を否定することにもなり、大会のイメージがダウンしかねないと思う。国民やアスリートを巻き込んだオープンな議論を行い、それを見ていただいて信用を回復し『応援していこう』という機運を高めていくことができるかどうか探っていくしかない」と話しました。

IOC「謝罪で問題は収束」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言について、IOC=国際オリンピック委員会は「男女平等はIOCの基本原則です。東京オリンピックでは女子選手の割合が全体の48.8%と男女比率をほぼ同じにすることができ評価しています」などと男女平等の理念について述べたうえで、「森会長はきょう、自身の発言について謝罪しました。これによってIOCはこの問題が収束したと考えています」とコメントしました。

IPC「謝罪で問題は収束」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言についてIPC=国際パラリンピック委員会は「IPCは、多様性は強みであると強く信じて、パラリンピック活動を通してより男女の比率を均等にできるよう取り組んでいます。森会長が不適切なコメントについて謝罪したことで、この問題は収束したと考えています」とコメントしました。

日本ラグビー協会「性別にかかわらず活発な議論」

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の発言について日本ラグビー協会は「背景が分かりかねるのでコメントは差し控えるが当協会の理事会では性別にかかわらず活発な議論が行われている」としています。

森会長は発言の中で日本ラグビー協会で、女性の理事が増えていることを例にあげて理事会について「今までの倍、時間がかかる」などとも述べています。

協会によりますと19人の理事のうち、現在5人が女性で、協会は森会長のこの発言については「そのような認識はありません」としています。

全柔連 溝口紀子さん「こうした発言したこと非常に残念」

バルセロナオリンピック、柔道女子52キロ級で銀メダルを獲得し、現在は全日本柔道連盟で評議員を務める溝口紀子さんはNHKの取材に応じ、森会長の発言について「オリンピック・パラリンピックのホスト国の顔になる非常に重要な役割をされる方が女性蔑視ともとれる発言をするのはかなり問題だ。『オリンピック憲章』でもいかなる差別も否定すると定められているのに、先頭に立ってオリンピズムを体現すべき方がこうした発言をしたことが非常に残念だ」と批判しました。

そのうえで「国内以上に海外の選手は女性差別を含めた差別問題について厳しく、国際世論を敵にしたのではないか。ただでさえコロナ禍で中止の世論が高まっている中でオリンピック・パラリンピックをこういう人たちの国でやっていいのかという不安を与えることになったのではないか」と懸念を示しました。

また森会長が会見で謝罪したうえで辞任を否定したことについては「冒頭で発言の撤回をしたことはよかった。ただ、失言の責任をどうやって取るのか、謝罪だけでいいのかという声が、本来であれば大会組織委員会の内側から上がらなければならないと思う」と指摘しました。

そのうえで大会組織委員会やJOC=日本オリンピック委員会に対し「知識、経験、能力を持った理事を男女問わず登用し、女性の活躍の場を増やしていることを内外に示すべきであり、それが組織の自浄能力を示すことにつながる」と話していました。