「『常陽』再開前に使用済み
核燃料処理計画 地元合意を」

国の事業にむだがないかを検証する政府の「秋のレビュー」で、高速実験炉「常陽」をめぐり、河野行政改革担当大臣は、追加の費用を抑えるため、使用済み核燃料の保管期間について地元と明確に合意する必要があるという認識を示しました。

茨城県にある「常陽」は、国が実用化を目指す、プルトニウムを燃料にする高速炉の国内唯一の実験施設で、トラブルのため2007年から運用が止まり、再開の具体的な時期は決まっていません。

この「常陽」をめぐり、政府の「秋のレビュー」で議論が行われ、河野行政改革担当大臣は、使用済みの核燃料について、「最後までどうするかを決めないと、あとから保管容器を製造したり、海外に運び出したりと、むだな予算がかかる」と指摘しました。

そのうえで、運用の再開にあたっては、追加の費用を抑えるため、使用済み核燃料の保管期間について、地元と明確に合意する必要があるという認識を示しました。

これに対し、文部科学省の担当者は、「『当面の間、保管する』ということで、正確な数字で何年という地元との合意はない」と説明しました。

こうした議論の結果、河野大臣の指摘を踏まえ、「『常陽』の運用再開前に、使用済み核燃料の処理方法と保管場所について明確な計画を見いだし、再稼働に関する地元合意を得る必要がある」とする意見が取りまとめられました。

河野行政改革相「体質あまり変わっていない」

河野行政改革担当大臣は議論のあとの記者会見で「原子力に関連する事業は5年前も扱ったが、体質があまり変わっていない。長期的な解決をせず、短期的な対応に逃げることの繰り返しでは、コストがかかるだけだ」と述べました。

また河野大臣は、廃炉作業が進められている新型転換炉「ふげん」で、使用済み核燃料の輸送容器の製造に向けた準備費用などが、来年度予算案の概算要求に計上されていることについて「再処理をどうするのかや、出てきたプルトニウムをどうするのかが詰まっていない段階で、容器だけつくる予算が積み上がっていくのは、長期的に見てもいいことではない」と指摘しました。