イージス・アショア代替策
海上配備の方向で検討
新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策について、防衛省は、自民・公明両党の安全保障関係の会議で、護衛艦や民間の船を活用するなどして、陸上ではなく、海上に配備する方向で検討を進めていることを明らかにしました。
新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の山口・秋田両県への配備断念を踏まえて、防衛省は、代替策の検討を進めていて、24日、自民党と公明党が、それぞれ開いた安全保障関係の会合には岸防衛大臣も出席し、検討状況を報告しました。
このうち、自民党の会合で、岸大臣は、「『イージス・アショア』の構成品を移動式の洋上プラットフォームに搭載する方向で具体的な検討を進めたい」と述べ、代替策として、レーダーや発射装置などを陸上ではなく、海上に配備する方向で検討を進めていることを明らかにしました。
そのうえで、防衛省の担当者から、
▽護衛艦を使用する案や、
▽民間の商船を活用する案、それに
▽「リグ」と呼ばれる油田の掘削に使う装置のような構造物を洋上に設ける案などが示されました。
これに対し、出席した議員からは、「警備上、問題はないのか」とか「技術的に初めてのことであり、アメリカと十分に連携して進めるべきだ」といった指摘が出されたほか、「イージス艦を増やして対応してはどうか」といった意見も出されました。
防衛省は、今後、技術的な実現性やコスト面などから、さらに詳細な検討を進めることにしています。
「陸上案」と「海上案」
「イージス・アショア」の代替策について、防衛省は、「陸上案」と「海上案」を検討してきました。
しかし、「陸上案」については、山口・秋田両県に代わる場所を継続して調査したものの、適当な代替地はないと結論づけました。
また、レーダーと発射装置をそれぞれ陸上と海上に分けて配備する案も検討しましたが、通信の問題などで課題が残りました。
このため、レーダーと発射装置を一体で配備し、要員も1か所に集中できることなどから、「海上案」を軸に検討を進めることになりました。
「海上案」メリットと課題
防衛省が、24日、与党側に示したのは、
▽護衛艦を使用する案、
▽民間の商船を活用する案、それに
▽「リグ」と呼ばれる油田の掘削に使う装置のような構造物を洋上に設ける案などです。
いずれも、「イージス・アショア」のレーダーや発射装置を搭載したまま移動が可能で、防衛省は「情勢の変化に応じて、柔軟に運用することが可能だ」としています。
ただ、いずれの案も▽陸上の配備に比べると、防護や警備が難しいことや、▽前例に乏しく、技術的な実現性の検討が必要となることに加え、それに▽コストが膨らむのではないかといった懸念が出ています。
加藤官房長官「防衛省の検討を待つ」
加藤官房長官は、午後の記者会見で、「海上案は、人員、経費などの資源の投資を1か所に集中できるうえ、情勢の変化に応じて、柔軟な運用が可能だということが、おおむね明らかになっていると承知している。防衛省で、アメリカ政府、事業者を交えて技術的実現性、搭載機能、およびコストなどについて、詳細な検討を鋭意進めていると承知していて、その検討を待ちたい」と述べました。