スベスト訴訟 国と企業
に13億円余の賠償命じる

建設現場でアスベストを吸い込み肺がんなどになったとして首都圏の元作業員らが、国と建材メーカーに賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は国と建材メーカー5社に合わせて13億円余りの賠償を命じました。

首都圏の建設現場で働いていた元作業員や遺族、合わせて121人は、アスベストを吸い込んで肺がんや中皮腫などの健康被害を受けたのは、対策の遅れが原因だったとして、国と建材メーカー18社に対し、43億円余りの賠償を求めています。

4日の判決で、東京地方裁判所の前澤達朗裁判長は「遅くとも昭和50年からはアスベストを扱う際に、警告の表示や防じんマスクの必要性をより具体的に記載する義務を負っていた」と指摘し、国に対して原告112人に8億4000万円余りを賠償するよう命じたほか、建材メーカー5社にも合わせて4億7000万円の賠償を命じました。

また、個人で仕事を請け負っていたいわゆる「1人親方」についても国の責任を認めました。

弁護団によりますと、建設現場でのアスベスト被害をめぐる全国の裁判で国に賠償を命じる判決はこれで14件連続です。

また、最高裁判所は、一連の訴訟では初めて、来月、双方の意見を聞く弁論を開くことにしていて、判断が注目されています。

弁護団長「救済法制定を」

判決後の会見で小野寺利孝弁護団長は「判決を真摯(しんし)に受け止めて、国と建材メーカーが賠償金を拠出して、裁判を起こさなくても救済される制度を作ってほしい。救済法を制定して、被災者を訴訟という重い漆黒から解放してほしい」と話していました。

厚生労働省「判決内容を精査 対応検討していきたい」

厚生労働省は「国の主張が一部認められなかったものと認識しています。判決の内容を精査するとともに、関係省庁と協議しつつ、対応を検討していきたい」とコメントしています。