産の防衛装備品の完成品
フィリピン政府に初輸出へ

国産の防衛装備品の完成品としては初めて、三菱電機が製造した航空機などの動きを監視する2種類のレーダーが、フィリピン政府に輸出されることになりました。

防衛装備品の輸出は6年前に閣議決定した「防衛装備移転三原則」に基づき、平和貢献や日本の安全保障に資する場合など、一定の条件のもと認められるようになりました。

河野防衛大臣は28日、記者会見で「防衛装備移転三原則」に基づき、三菱電機が製造した航空機などの動きを監視する2種類のレーダーを、フィリピン政府に輸出する契約が成立したと発表しました。

輸出されるのは航空自衛隊も使用している固定式の警戒管制レーダー3基と、陸上自衛隊も使用している移動可能な小型レーダー1基を改良したもので、契約額は総額およそ100億円にのぼります。

防衛装備品の海外輸出は、これまでミサイルの部品などに限られ、完成品が輸出されるのは今回が初めてです。

今回の契約について河野大臣は「防衛装備品の移転により、さまざまな国々との防衛協力が進んでいくし、日本の防衛産業の強化にもつながる。『自由で開かれたインド太平洋』のビジョンにも合致するのではないか」と述べました。

防衛省「厳格な審査で個別に判断」

今回のレーダーの輸出は「防衛装備移転三原則」に基づいて日本の防衛装備品の完成品が、海外に輸出される初めてのケースになります。

「防衛装備移転三原則」は、それまで武器の輸出を事実上、禁止してきた「武器輸出三原則」に代わって、6年前に閣議決定されました。

平和貢献や国際協力、それに日本の安全保障に役立つ場合にかぎり、厳格な審査のもと輸出を認めることで、各国との安全保障面での協力や国内の防衛産業の基盤強化を図るとされました。

これまでに実際に輸出されたのはミサイルや戦闘機の部品などにとどまっていましたが、今回、フィリピンに輸出されるのは航空自衛隊のレーダーをベースにした警戒管制レーダーなどで、初めて、完成品の防衛装備品が輸出されることになります。

「防衛装備移転三原則」について防衛省は、「積極的な武器輸出政策に転じるものではなく、装備品の移転は厳格な審査で個別に判断する」としていて、今回の輸出は、安全保障面での協力関係がある国との防衛協力の強化に資することから、移転を認める場合に当たると説明しています。