幹線長崎ルート「整備
方式絞らず環境評価」提案

整備方針をめぐって協議が難航している九州新幹線・長崎ルートの未着工区間について、国土交通省はフル規格での整備に反対している佐賀県に対し、整備方式を絞らずに環境影響評価を行う案を提示しました。

九州新幹線・長崎ルートの新鳥栖ー武雄温泉間の整備方針をめぐっては去年、与党のプロジェクトチームが「フル規格」が適当だとしましたが、佐賀県がこれに反対し、国土交通省と県は今月5日からフル規格を前提としない「幅広い協議」を始めました。

これを受けて国土交通省は、通常は整備方式を決めてから行う環境影響評価について佐賀県との協議と並行して進める方針を決め、県に対し5つの整備方式について実施することを提案しました。

方式は「フル規格」のほか、在来線と線路の幅が同じ「スーパー特急」や、在来線の線路の幅を新幹線の幅に改良する「ミニ新幹線」などです。

環境影響評価には数年がかかりますが、国土交通省は整備方針をめぐる佐賀県との協議は並行して進めていきたいとしています。

佐賀県「同意できない」

佐賀県で国土交通省との調整の窓口を担当する南里隆地域交流部長は17日に開かれた県議会の一般質問で「5つの方式のすべてに対応できる環境影響評価ということだが、スーパー特急、フリーゲージトレイン、リレー方式の3つは一度認可が行われているうえ、平成30年3月の鉄道局の資料では『フリーゲージトレインは環境影響評価は不要』としている。5つの整備方式すべてに、あたかも環境影響評価が必要であるかのような誤解や議論の混乱を招く表現で、実質的にはフル規格とミニ新幹線のための環境影響評価ではないかと考えている」と述べ、反発しました。

そのうえで「今月5日に協議に入り幅広く議論を行っていこうとしたやさきに、このように議論の混乱を招くような提案がなされたことは大変遺憾だ。この提案については私のほうから同意できないと回答した」と述べ、国土交通省からの提案に対し、16日の夕方、同意できないと伝えたことを明らかにしました。