部告発の職員が1人部署
に異動 田布施町

山口県田布施町で、税金の徴収ミスを内部告発した町の職員が個室に1人だけの部署に異動させられていたことが分かり、議会からはパワハラではないかという指摘が出ています。町は否定していますが、県内外から批判が殺到し、役場には爆破予告のメールが届くなど混乱が起きています。

山口県田布施町ではおととし、税金の徴収ミスを内部告発した町の職員が、その後、2年間で3度も配置転換となり、現在、個室で1人だけで町史の編さんを担う部署に異動させられていることが議会の指摘で明らかになりました。

この職員は取材に対し、「孤立させようという意図を感じる」と話し、議会からもパワハラではないかという指摘が出ています。

これに対して、町は正当な異動だとしていますが、県内外から批判が殺到しています。

また、役場には今月9日、「6月10日の午後3時34分に役場を爆破する」と書かれたメールが届き、実際には不審物は見つかりませんでしたが、10日の予告された時間帯に職員らが避難を迫られるなど、混乱が生じています。

田布施町の東浩二町長は、「町史編さんの部署は人員を増やす予定で、悪意を持って孤立させようというものではない」として重ねてパワハラを否定し、「爆破予告は許されず、非常に遺憾だ」と述べています。

職員 2年間で3回配置換え 現在は町史の編さんを1人で担当

山口県田布施町は去年6月、固定資産税などの計算を誤り、過大に税を徴収していたと発表しましたが、おととしの時点で当時の担当職員の一人が「税の徴収に誤りがあるのではないか」などと上司に報告していたことが分かっています。

町によりますと、報告した職員はその後、2年間で3回配置換えとなり、現在は町史の編さんを1人で担当していて、役場の本庁舎とは別の建物の1室が職場になっているということです。

この職員は取材に対し、「急ごしらえでつくったような部屋に異動になり、孤立させられているような意図を感じる。このような町の対応を見たほかの職員が間違いを正そうという気持ちをなくして、組織として悪い方向に進んでしまうのではないか」と話し、町の対応に不満を示しています。

この職員人事については今月9日の町議会でも取り上げられ、一部の議員から「公平・公正な人事とは言えず、職員を孤立させるためのパワハラ行為にあたるのではないか」という指摘が出されました。

これに対し、東浩二町長は「人事異動は、今後の組織の課題や職員の状況などを考慮して行っている」としたうえで、「職場では多くの資料の収集・整理を行う必要があり、手狭な本庁舎内で行うのは限界がある。職員には、私からも業務をどう進めてほしいか具体的に話をしている」と述べ、対応に問題はないという認識を示しています。

町への批判や苦情は約600件 “爆破予告”メールも

山口県田布施町の職員人事をめぐっては、町に対する批判や苦情が相次いでいます。

町によりますと、役場には「パワハラをやめろ」とか「町長は辞任すべきだ」といった電話やメールが寄せられていて、11日までに県内だけでなく、九州や関東などからも含めおよそ600件に上っているということです。

さらに、今月9日には「6月10日に役場を爆破する」などと書かれたメールまで送りつけられました。

町によりますと、警察による捜索では、爆発物は発見されなかったということですが、10日の予告された時間帯に、当時役場を訪れていた職員や町民、合わせておよそ80人が避難する事態になりました。

警察が警戒する中、避難訓練という形をとって避難させたことから大きな混乱はなかったということで、町は今後の対応について警察と協議することにしています。

町民「いじめのような感じ」「こんな話題で有名になり残念」

山口県田布施町の職員人事をめぐる一連の事態について、町民の受け止めを聞きました。

40代の女性は、配置換えが繰り返された職員について「今の状況はいじめのような感じに見受けられ、本人が病んでしまうのではないか。町には、もっとしっかり対応してほしい」と話していました。

また、町に批判が相次ぐなどしている状況について、60代の女性は「最初聞いたときにはびっくりした。いいところに住んでいると思っていたので、こんな話題で町の名前が広まってしまうのは残念です」と話しています。