益通報者保護法の改正案
可決・成立

不正を内部通報した人が、不当な扱いを受けないよう企業の担当者に対する罰則付きの守秘義務などを盛り込んだ公益通報者保護法の改正案が、8日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

公益通報者保護法は、内部通報者に対する不当な扱いを禁じる一方で罰則はなく実効性を疑問視する声があったことなどから、政府が改正案を提出したもので、8日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

法案では、新たに従業員が300人を超える企業に対して通報を受け付ける窓口を設けるなど体制の整備を義務づけ、通報者の情報が漏れることがないよう窓口となる企業の担当者などに罰則付きの守秘義務を課すことなどが盛り込まれています。

また、これまでは保護の対象となっていなかった退職してから1年以内の人についても新たに保護の対象に加えました。

一方、内部通報者に不当な扱いをした企業への行政措置などの導入については今回は見送られ、施行後3年をめどに改めて検討することが付則に盛り込まれました。

改正法は公布から2年以内に施行され、通報体制の具体的な指針の策定も今後、進められることになっています。

「大きな1歩 さらなる向上を期待」

公益通報者保護法の改正案が成立したことについて、かつて実際に内部通報を行った大手精密機器メーカーオリンパスの社員の濱田正晴さんは、「大きな1歩となったので、さらに向上していくことを期待している」と話しています。

濱田さんは、公益通報者保護法が施行された翌年の平成19年に上司の不正を会社に内部通報しましたが、その際、通報内容を関係者に漏らされ、不当な異動を命じられたとして平成20年、会社を訴え、最高裁判所で勝訴が確定しました。

公益通報者保護法の改正について濱田さんは、「法律の見直しには14年もかかったが、企業の内部通報体制に影響を与える改正で大きな1歩になった。裁判の手続きや会社からの報復に対する罰則などさらに通報者保護の仕組みを向上させるため時間をかけずに検討を進めてもらいたい。今回の1歩からさらに2歩、3歩と前進していくことを期待している」と話していました。