井議員秘書が起訴内容
認める 罰金刑目指す方針

自民党の河井案里議員の陣営による選挙違反事件で、運動員買収の罪に問われている公設秘書は、19日の裁判で起訴された内容を認めました。弁護士は、今後の審理で連座制の対象にならない罰金刑にとどめるよう求める方針です。

自民党の河井案里議員の公設第二秘書、立道浩被告は(54)、去年7月の参議院選挙で、いわゆるウグイス嬢14人に法律の規定を超える報酬を支払ったとして、夫の河井克行前法務大臣の政策秘書とともに、公職選挙法違反の運動員買収の罪で起訴されました。

先月、広島地方裁判所で開かれた初公判では、起訴内容を認めるかどうかを留保していました。

19日の2回目の審理で立道秘書は、「違法な報酬の支払いに関与したのは事実です」などと述べ、起訴内容を認めました。

秘書の弁護士は、「有罪は争わないが、ウグイス嬢への報酬額の決定に関与しておらず、ほう助犯にすぎない」と述べ、従属的な立場だったと主張しました。

このあとの被告人質問で、立道秘書は、「自分がウグイス嬢の遊説の責任者だとされているが、河井夫妻から行きたいところや、やりたいことを言われ、遊説ポイントをつないでルートを作成しただけだ」と述べました。

立道秘書について検察は、議員本人の当選が無効となる連座制の対象に該当するとして、100日以内に判決を出すよう求める「百日裁判」を申し立てています。

今後、禁錮以上の有罪判決が言い渡され、確定した場合、検察は連座制の適用を求める行政訴訟を起こす方針で、検察の主張が認められれば、案里議員の当選は無効となります。

一方、立道秘書の弁護士は、今後の審理で連座制の対象にならない罰金刑にとどめるよう求める方針です。

河井案里議員「違法な報酬支払った認識ない」

自民党の河井案里参議院議員は19日、国会内で記者団に対し「これから裁判の内容をしっかりと見ていきたい」と述べました。一方、記者団が「違法な報酬を支払った認識はないか」と聞いたのに対し、「ない」と否定しました。

また「説明はいずれ私の口からきちんとする」と述べる一方、時期については「未定だ」と述べました。

自民 世耕参議院幹事長「しっかりと説明すべき」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「あくまでも秘書による選挙違反で、河井案里氏は、全くあずかり知らないと説明している」と述べました。

一方で、記者団が「案里氏や、夫の河井克行・前法務大臣が、地元の地方議員らに現金を渡した疑いがあるが、説明責任を果たしていると思うか」と質問したのに対し、「まさに本人の問題だ。受け取ったことを公の場で認めている方もいる。しっかりと説明すべきだ」と述べました。

立民 蓮舫参議院幹事長「あまりにも不誠実」

立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は記者団に対し「河井氏はあまりにも不誠実で、1日も早く自身の口で説明すべきだ。『説明はいずれ私の口からきちんとする』と言っているが、『いずれ』という時間幅があまりに長すぎる。政治とカネの問題が、国会議員全体の問題だとみられてしまうことが非常に残念だ」と述べました。