“捜査など踏まえけじめ
つけ方検討” 首相

財務省の決裁文書の改ざん問題をめぐる佐川前国税庁長官の証人喚問を受け、安倍総理大臣は参議院予算委員会で、改ざんや国有地売却への関与を重ねて否定する一方、証言の評価は国民の判断に任せたいという考えを示しました。また今後、大阪地検の捜査などを踏まえ、みずからも含めた、今回の問題のけじめのつけ方を検討する考えを示しました。

「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書の改ざん問題をめぐり、参議院予算委員会は27日、佐川前国税庁長官の証人喚問を行ったのに続き、28日午前、安倍総理大臣も出席して集中審議を行いました。

この中で自民党の丸川前オリンピック・パラリンピック担当大臣は「きのうの証言では、書き換えや国有地の取り引きに安倍総理大臣や夫人の昭恵氏、総理大臣官邸関係者の指示や関与、圧力がなかったことなどが明らかになった」と指摘しました。

これに対し安倍総理大臣は「これまでも私は決裁文書の書き換えを全く指示していないと申し上げてきた。今後ともしっかりと説明責任を果たすとともに、国民から厳しい目が向けられていることを真摯(しんし)に受け止めながら徹底的に調査を行い、全容を解明していく」と述べました。

民進党の川合孝典氏は「佐川氏は、肝心の改ざんについてはすべて証言を拒否し、関連質問にも証言が得られなかった。真相究明に一歩近づくと国民は期待したが、むしろ逆に疑惑が深まったのではないか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は「証人喚問のやり取りについて政府側はコメントしないのがこれまでの一貫した立場だ。私や妻は国有地の払い下げに一切関わっておらず、きのうの証人喚問を通じてどのような印象を持ったかは国民の判断に任せたい」と述べました。

そのうえで安倍総理大臣は「今、大阪地検で徹底した捜査が行われ、財務省内でも聴き取りを行っており、その中で確たるものが出れば、政府としてけじめをつけていくのは当然だ。最終的な監督責任は私にあり、そうしたことも含めて判断しなければならない」と述べました。

また安倍総理大臣は、森友学園に売却した土地でゴミの量などの再調査を行うよう求められたのに対し、「その点も含めて解明していく」と述べたほか、第三者による調査を求められたのに対し、「真相究明のためにあらゆることをやらなければならないが、政府としては政府の責任を果たす」と述べました。

さらに安倍総理大臣は、夫人の昭恵氏が務めていた名誉職は、「森友学園」の小学校と「加計学園」の保育施設を含め、合わせて55件あったことを明らかにしました。