予算委 司法制度
中東派遣、温暖化で論戦

参議院予算委員会では29日に続き、今年度の補正予算案の審議が行われ、中東地域への自衛隊派遣などをめぐって論戦が交わされました。

この中で自民党の三宅伸吾氏は日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が中東のレバノンに逃亡したことについて「逃走させた主権国家の国会議員としてじくじたる思いだ。わが国の司法は世界的にも極めて高い信頼を受けているが、自白をしないと釈放されないという『人質司法』ということばでやゆされている。どういう見解か」とただしました。

これに対し森法務大臣は「カルロス・ゴーン被告人が何を言おうと、不正出国したことを正当化する理由にはならず言語道断だ。わが国の刑事司法制度を、そのように批判されるようないわれはないが、どの国の制度も常に完璧ということではなく、国民の皆様の指摘に耳を澄ませ、見直すべきことは見直していく」と述べました。

公明党の山本香苗氏は中東地域への自衛隊派遣について「今回の派遣をもって、防衛省設置法の『調査・研究』に基づいて、自衛隊を世界中どこでもいつでも、海外派遣できることの先例にはならないということでよいのか」とただしました。

これに対し安倍総理大臣は「さまざまな自衛隊の活動が法律で規定されている中で、防衛省設置法上の調査および研究に基づく活動を行うかは、いかなる地域でいかなる活動を実施するのか、防衛省の所掌事務の遂行に必要な範囲であるのかを慎重に検討する。同様の事態が発生した場合の自衛隊の活動は、政府全体の施策を総合的に勘案しつつ、適切に対応するもので一般化するということは毛頭ありえない」と述べました。

公明党の矢倉克夫氏は気候変動をめぐって「日本は異常気象の被害国だ。被害を受けている国として、世界のリーダーシップをぜひ取ってほしい。世界の二酸化炭素の4割は、アメリカと中国が排出しており、米中に対して働きかけをお願いしたい」と求めました。

これに対し安倍総理大臣は「世界第1位の温室効果ガス排出国である中国と、第2位のアメリカの気候変動問題への参画は極めて重要だ。トランプ大統領には、今後とも働きかけを続けていきたいと思うし、4月の習近平国家主席の国賓訪問では、中国も地球規模的な課題について、責任を果たす意思を示していくことになることを期待している」と述べました。