岡一家4人殺害事件
死刑囚1人に刑を執行

平成15年に福岡市の一家4人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、死刑が確定していた中国人の元専門学校生の魏巍死刑囚に刑が執行されました。

死刑が執行されたのは、中国人の元専門学校生の魏巍死刑囚(40)です。

魏巍死刑囚は、平成15年に福岡市東区の一家4人が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、平成23年に死刑が確定していました。

森法務大臣は臨時に記者会見し「まことに身勝手な理由から、幸せに暮らしていた8歳と11歳の子どもを含む家族全員を殺害した極めて冷酷かつ残忍な事件で、なんら落ち度のない4人もの尊い人命を奪った結果は極めて重大だ。被害者はもちろん、ご遺族にとっても無念この上ない事件だと思う。裁判で十分な審理を経たうえで、最終的に死刑判決が確定したもので、法務大臣として慎重な上にも慎重な検討を加えたうえで、死刑の執行を命令した」と述べました。

死刑の執行は、ことし8月以来で、10月に就任した森法務大臣のもとでは初めてです。第2次安倍内閣の発足以降に死刑が執行されたのは、17回目で、合わせて39人になりました。

一家の親族の男性「残っているのは悲しみだけ」

死刑の執行について、一家の親族の男性は、「事件から年月が経過して、4人が生きていたころの楽しい思い出をやっと感じられるようになっていたのに、きょうの死刑執行の知らせは、忘れかけていた事件当時のつらい気持ちを思い出させるものでした。私たちに残っているのは、4人が亡くなった悲しみだけで、それ以外の感情は出てきません」と話していました。

魏巍死刑囚とは

死刑が執行された魏巍死刑囚(40)は、平成15年に、福岡市東区の自営業の40代の夫婦と、11歳の長男、それに8歳の長女の一家4人を殺害するなどしたとして強盗殺人や死体遺棄などの罪に問われました。

1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、被告が上告しましたが、平成23年、最高裁判所は「金を得る目的のためには人の生命の尊さをも意に介しない被告の行為は極めて冷酷で残忍で、4人の生命を奪った結果は重大だ」として上告を退け、死刑が確定していました。

共犯の中国人の男2人は事件後に帰国して中国で拘束され、1人は死刑が執行され、もう1人は無期懲役の刑が確定しています。

日弁連会長「執行に強く抗議」

死刑の執行について、日弁連=日本弁護士連合会の菊地裕太郎会長は「法律上、および事実上、死刑を廃止している国は、世界の中で3分の2以上を占めるなど、国際社会の潮流は死刑廃止に向かっている。きょうの死刑執行に強く抗議するとともに、死刑制度を廃止するよう求める」などとする声明を出しました。