待者の基準が不透明”
野党の追及チーム初会合

総理大臣主催の「桜を見る会」について、野党側の追及チームの初会合が開かれ、出席した議員からは、招待者を選ぶ基準が不透明だとして、名簿などを示すよう求める意見や、府省庁ごとに招待者の枠があるのではないかといった指摘が相次ぎました。

総理大臣主催で毎年開かれている「桜を見る会」について、野党側は12日、追及チームの初会合を開き、内閣府などからヒアリングを行いました。

出席した議員からは、招待者を選ぶ基準が不透明だとして、名簿などを示すよう求める意見が相次ぎましたが、内閣府の担当者は「保存期間が1年未満であり、使用目的を終え、膨大な量になることから、文書、電子媒体のいずれも廃棄した」と答えました。

また、議員が、各府省庁ごとに招待者の枠があるのではないか、と指摘したのに対し、担当者は「業務に支障が出るため、枠があるかないかも含めて、答弁を差し控える」と述べました。

さらに、議員から「安倍総理大臣の事務所を通せば数百人規模で参加できる枠があるのか」と問われると、担当者は、「個々の招待者については個人情報なので、答えを差し控える」と述べました。

立民 枝野氏「本丸直撃の案件だ」

立憲民主党の枝野代表は、党の常任幹事会で、「今までとは質が違う、本丸直撃の案件だ。安倍総理大臣が説明責任を果たすことから逃げようと思えば、遠からず『桜疑惑解散』に打って出る。そこに向けて、備えを強化しなければならない」と述べました。

自民 森山氏「予算委になじまない」

自民党の森山国会対策委員長は、記者会見で、「私も何回か出席しているが、政府が行う行事であり、私物化という批判はあたらない」と述べました。

そのうえで、「所管の内閣委員会で議論することが大事だ。予算委員会にはなじまないのではないか」と述べ、野党側が求める予算委員会の集中審議には応じられないという考えを示しました。

桜を見る会とは

「桜を見る会」は、昭和27年から、総理大臣が主催して開催しているもので、東日本大震災があった年などを除き、例年4月に、東京の新宿御苑で開かれています。

政府は、内閣の公式行事として、毎年、開催に必要な予算を計上しており、内閣府によりますと、予算額は、平成26年度から、今年度までは一律1700万円余りで、来年度予算案の概算要求では、その3倍を超える5700万円余りとなっています。

これについて、政府は、金属探知機の設置といったテロ対策の強化や、混雑緩和のための措置など、近年の状況にあわせた改善点を反映させた結果だと説明しています。

開催要領によりますと、招待者の範囲は、皇族や各国の大使、閣僚、国会議員や各界の代表者など、およそ1万人としていますが、招待されたのは、
▽平成26年がおよそ1万2800人、
▽平成27年からおととしまでが1万3000人台で、
▽去年が1万5900人、
▽ことしが1万5400人でした。

また実際に参加した人の数は、平成26年のおよそ1万3700人から増加傾向となっていて、ことしはおよそ1万8200人でした。

参加者の増加に伴って、支出額も増えていて、
▽平成26年が3000万円余りだったのに対し、
▽去年が5200万円余り、
▽ことしは5500万円余りとなっていて、
予算額を上回る不足分は、内閣府の別の予算から充てているということです。

招待者の基準 菅官房長官の説明は…

総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐって、衆議院本会議で、野党側が、招待者を選ぶ基準などをただしたのに対し、菅官房長官は、「各省庁からの意見などを踏まえ、各界で功績のあった人を幅広く招待している」と説明し、問題はないという認識を示しました。

総理大臣主催の「桜を見る会」について、12日の衆議院本会議で、立憲民主党の落合貴之氏は、安倍総理大臣の地元後援会の関係者が数百人規模で招待されているとして、「公的行事の私物化ではないか」などと追及し、招待者を選ぶ基準や、招待者の名簿がすぐに廃棄される理由などをただしました。

これに対し、菅官房長官は、「開催要領に基づき、各省庁からの意見などを踏まえ、各界で功績や功労のあった方々などを幅広く招待しており、招待者は内閣官房および内閣府で最終的に取りまとめている」と述べ、問題はないという認識を示しました。

また、「招待者名簿は、会の終了をもって使用目的を終えるのに加え、すべて保存すれば個人情報を含んだ膨大な文書を適切に管理する必要が生じることもあり、内閣府が従前から、終了後、遅滞なく廃棄する取り扱いにしている」と説明しました。

招待者の範囲「検討も必要」菅官房長官

菅官房長官は午後の記者会見で、桜を見る会の開催要領で、皇族や閣僚、国会議員以外の招待者について、「その他各界の代表者等」とされていることについて、「各界でさまざまな功績、功労のあった方々などを幅広く招待できるよう『等』を付けており、特定の分野やカテゴリーを想定しているものではない」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は、今後、招待者の範囲をより明確にする必要があるかと問われたのに対し、「政府としては、検討していくことも必要があると思っている」と述べました。

また、開催要領で、招待者の範囲をおよそ1万人としている一方、ことしは1万8000人余りが出席したことについて、菅官房長官は、「開催要領ではおよそ1万人だが、例えばご夫妻など、招待よりも、来られる方が増えることもあり得るのではないか」と述べました。

ブログを削除 安倍首相の地元山口では…

「桜を見る会」をめぐっては安倍総理大臣の地元の山口県の県議会議員らが会に出席した様子をブログに掲載していましたが、今月8日にこの問題が国会で批判されて以降、相次いで削除されています。

山口県の友田有県議会議員が5年前の平成26年5月にブログに掲載した「安倍首相主催『桜を見る会』へ。」というタイトルの記事には「今回は私の後援会女性部の7名の会員の方と同行しました。(桜を見る会前日の)その夜には、ANAインターコンチネンタルホテルの大広間において、下関市・長門市そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティーが開かれました。安倍首相には長く政権を続けてもらい、今後もずっと『桜を見る会』に下関の皆さんを招いていただきたい」などと書かれていました。

また、山口県周南市の藤井律子市長が去年5月にブログに掲載した「『桜を見る会』に行ってきました」というタイトルの記事には「片山さつき先生とも久しぶりの再会を果たしました。『今日は、山口県からたくさんの人が来てくださっているわね~。10メートル歩いたら、山口県の人に出会うわよ!』といつものように元気よくお声をかけていただきました」と書かれていました。

ブログ削除の理由は…

山口県周南市の藤井市長は「『桜を見る会』に行ってきました」というタイトルのブログの記事を削除した理由について「ブログには他の人の写真や話も載せていて、国会で議題に上がったことを受け、何か迷惑がかかるといけないと思い削除した」とコメントしています。

また安倍総理大臣の地元、山口県下関市選挙区選出の友田有県議会議員は5年前に掲載した「安倍首相主催『桜を見る会』へ」というタイトルの記事を削除したことについて「ブログを削除したことに特に理由はない」と話しています。

ツイッターで批判相次ぐ

総理大臣主催の「桜を見る会」について、ツイッター上では著名人からの批判的な投稿も相次いでいます。

元大阪市長の橋下徹氏はツイッターを更新し、
「桜を見る会。消費税も増税し、まだまだ予算の無駄を削る必要がある中、こんな会の予算は真っ先に切るべきだ。ただし野党が安倍政権を追及するのも茶番。旧民主党も桜を見る会を開いていたのだから」
「与野党含めて、こんな会を開き続けてきたことを反省し、来年から即中止すべきだ」
「政治と行政の区別が全くついていない。支持者向けは政党の金か政治資金でやるべき」
などと批判しています。

また、前東京都知事の舛添要一氏は、
「桜を見る会や園遊会や勲章は、権力が権威を利用する最も安上がりで、しかも効果的な手段である」
「恩恵に預かった人々が権力批判をするわけはない」
などと指摘しています。

このほか哲学者の内田樹さんは、
「自分の支持者を集めて宴会をするのはさぞや楽しいことでしょう。でも、それは『私事』です。会費を取るか、自腹を切るか、二つに一つです。『他人の金』でやることじゃない。ましてや公金でやることじゃない。というくらいの道理も理解できない人間がこの国では総理大臣を務めているのです」
などと批判しています。