国へ追加関税表明
ほぼ全輸入品に対象拡大へ

米中の貿易交渉をめぐって、アメリカのトランプ大統領は「9月1日から中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の追加の関税をかける」と表明しました。この措置が発動されれば、中国からのほぼすべての輸入品が高い関税を上乗せする対象になり両国の貿易摩擦がさらに激しさを増すことになります。

トランプ大統領は1日、ツイッターで「9月1日から中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の追加の関税をかける」と表明しました。

この措置が発動されれば、中国からのほぼすべての輸入品が高い関税を上乗せする対象になります。

また、この措置の対象には生活に身近な製品も多く含まれるものとみられ、中国だけでなく、アメリカの消費者にも大きな影響を与えるおそれがあります。

トランプ大統領と習近平国家主席は、ことし6月に首脳会談を開いてこう着状態にあった貿易交渉の再開で合意し、今週、上海で閣僚級の交渉が行われましたが、大きな進展は見られませんでした。

これについてトランプ大統領は、ツイッターへの投稿で建設的な協議だったとする一方、「中国はアメリカから大量の農産品を購入することに合意したが、そのとおりにはしなかった」などと不満を示しました。

また、トランプ大統領は、記者団に対して、「交渉次第で関税を25%以上に引き上げることもありうる。取り引きが成立するまで関税をかけ続ける」と述べ、中国に対して交渉を長引かせずにアメリカの要求に応じるよう求めました。

トランプ大統領は今後、貿易をめぐる包括的な合意に向けて前向きに議論をすることを楽しみにしているとしていますが、両国の貿易摩擦はさらに激しさを増すことになります。

交渉進まず いらだち募らせる

米中両国は6月下旬の首脳会談を経て、こう着状態だった貿易交渉を再開しましたが、トランプ大統領は交渉が思うように進んでいないことにいらだちを募らせていました。

首脳会談のあと、トランプ大統領は追加の関税を見送る代わりに中国がアメリカの農産品を大量に輸入することを約束したと表明していました。

これを受けて、中国はアメリカ産の大豆をすでに数百万トン購入したとアピールするなど対応していく姿勢を見せていました。

ところがトランプ大統領は先月16日には「中国が農産品購入の約束を果たしていない」などとして、関税の上乗せ措置の拡大に踏み切る可能性も示唆したうえ、上海で閣僚級の交渉が行われていたさなかの先月30日にも、同様の発言をして不満をあらわにしていて、両国の間に食い違いがあることが示されていました。

来年の大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領にとって、中国による報復関税によって、打撃を受けているアメリカ国内の農家の支持を得るため、中国に農産品を購入させることは極めて重要で、いらだちを募らせていました。