後2千万円「事務方とし
配慮欠きおわび」金融庁局長

老後の資産形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会の報告書について、麻生副総理兼金融担当大臣は14日開かれた衆議院財務金融委員会で、報告書は受け取らず、内容は政策に反映させない考えを改めて示したうえで、「重々反省して対応したい」と述べました。

委員会では、冒頭、金融庁企画市場局の三井秀範局長が「審議会の議論をサポートする事務方として配慮を欠いた対応で、このような事態を招いたことを反省するとともに、深くおわびします」と述べて陳謝しました。

そのうえで三井局長は、報告書の原案は事務局を務めた金融庁が作成したことを明らかにし「高齢者のライフスタイルはさまざまであり、収入や支出の数字を単純に比較してこれをもって差額であると議論を始めたことは、意味のない数字を掲げたミスリーディングなものだった」と述べました。

また、麻生副総理兼金融担当大臣は「報告書の内容は著しい誤解や不安を与えることになり、われわれの政策スタンスと違う。その不安を一掃しないとさらにおかしな話になる」と述べ、報告書は受け取らず、内容は政策に反映させない考えを改めて示しました。

そのうえで、麻生副総理は「いちばんの問題は赤字になるとか、2000万円ないと生活できなくなるという話に聞こえるところであり、不安をあおったと思う。重々反省して対応して参りたい」と述べました。

さらに麻生副総理は、金融庁から事前に報告書の説明を受けた際に内容に疑問を持たなかったのかと問われたのに対し「5万円とか、2000万円という話を聞いた記憶は、私自身ありません」と述べました。

一方、この問題をめぐっては参議院の財政金融委員会も、来週18日に、麻生副総理に出席を求めて質疑を行うことを決めました。

麻生副総理「現場がもう少し丁寧に」

麻生副総理は14日の閣議のあとの記者会見で「報告書をまとめる段階で『こういう表現はいかがなもんですか』と発言するとか、調整するとかいうことが少し抜けていたのではないか。現場で作業していた人たちがもう少しきちんと丁寧にしてやればよかったというのが基本的な理解だ」と述べ、報告書を取りまとめた金融庁の担当者の対応に問題があったという認識を示しました。

また、麻生副総理は責任の所在について問われたのに対し、「今の段階では何とも言えない。今後丁寧に説明していかなければならないということだ」と述べるにとどめました。

立民 枝野氏「なぜ金融庁が謝罪しなければならないのか」

立憲民主党の枝野代表は、青森県八戸市で記者団に対し「なぜ金融庁が謝罪しなければならないのか、意味が分からない。今回、改めて、『年金だけでは、老後に暮らしていけない人たちが少なからずいる』という現実に直面し、それを真正面から受け止め、どう解決していくのかが政治の責任だが、その責任を果たそうとしていないことに多くの有権者がいらだち、怒っていることに気付いていないのではないか。現実自体を無かったことにする姿勢が多くの有権者の怒りの原因だ」と述べました。