そを言っている認識で
発言してないが、事実でない」

塚田国土交通副大臣は、道路整備をめぐって安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣の意向を「忖度(そんたく)した」と発言したことについて、4日の参議院決算委員会で、発言は多くの人を前に熱が入ったためで事実ではないと釈明したうえで、説明責任を果たすことで職責を全うする考えを重ねて示しました。

塚田国土交通副大臣は今月1日、今年度の国の予算に山口県下関市と北九州市を結ぶ道路整備の調査費が計上されたことをめぐり、下関市と福岡県が安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣の地元であることに言及したうえで「総理や副総理が言えないから私が忖度した」と発言しました。

これについて塚田副大臣は、参議院決算委員会で「大勢の方がいる会合で熱が入ってしまい、許されることではないが事実と異なる発言をしてしまった。うそを言っている認識で発言をしたわけではないが、事実ではないことだったので謝罪をし、撤回した」と説明しました。

そのうえで塚田副大臣は「多くの皆様に多大なる迷惑をかけることになり、国民に謝罪したい。発言については菅官房長官と石井国土交通大臣に説明し、それぞれ厳重注意を受け、しっかり説明責任を果たすよう指示をされた。説明責任を果たすことで職責を全うしていきたい」と述べ、陳謝し、説明責任を果たすことで職責を全うする考えを重ねて示しました。

また安倍総理大臣は、野党側から「平成28年に石井国土交通大臣宛てに出された下関市と北九州市を結ぶ道路の早期実現に向けた要望書に、安倍総理大臣の名前がある」と指摘されたのに対し「私自身、そういう要望書が出されたことは、今、拝見するまで知らなかった。そもそも私は総理大臣として陳情する立場にはない」と述べました。

国直轄の調査に至る経緯

「下関北九州道路」は、新たな幹線道路として、長年にわたって山口県と福岡県などが国に整備を要望してきました。

これに対して国は、事業化を検討するため平成6年度から調査費を計上し調査を続けていましたが、国の財政状況が厳しさを増す中、平成20年度の予算以降は、調査費の計上が見送られました。

地元の自治体などが要望を続けた結果、国は災害時に交通手段を確保するためにも必要だとして、平成29年度から調査のための補助金を出すことを決めます。

山口県や福岡県、経済界や国土交通省の九州地方整備局などで作る検討会は、この補助金を使って平成29年度と30年度の2年間、道路が通るルートや、橋とトンネルのどちらが望ましいかなどについて調査を行いました。

それとともに、地元の自治体などは、道路の早期実現には国による高度な技術力や知見が不可欠だとして、国が直轄で調査に乗り出すよう繰り返し要望してきました。

国の今年度の予算案が閣議決定された去年の12月21日にも、山口と福岡両県の知事らが、石井国土交通大臣や麻生副総理兼財務大臣、それに与党の幹部のもとを訪れ、要望しました。

国土交通省によりますと、この段階では、国が直轄で調査を行うかは決まっていなかったということです。

その後、先月上旬になって、自治体などでつくる検討会による調査結果がまとまり、先月19日に、両県の知事らが改めて直轄の調査を要望したところ、石井大臣は「直轄調査を行う方向で検討したい」と回答したということです。

そして、国土交通省は、より専門的な調査が必要だと判断し、今年度予算が成立した先月27日、国が直轄で調査を行う費用として4000万円を拠出することを決めました。

この予算は、各地の道路の整備に向けた調査などを行うためにおよそ140億円が計上された「地域連携道路事業費」の中から拠出されます。