田“忖度”発言
「本人が説明を」首相

山口県と福岡県を結ぶ道路整備をめぐり、塚田国土交通副大臣が安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣の意向を「忖度(そんたく)した」と発言したことについて、安倍総理大臣は、参議院決算委員会で、本人がしっかり説明をすべきだとしたうえで、引き続き職責を果たしてほしいという考えを重ねて示しました。

塚田国土交通副大臣は今月1日、山口県下関市と北九州市を結ぶ道路の整備をめぐって、下関市と福岡県が安倍総理大臣と麻生副総理の地元であることに言及したうえで、「総理や副総理が言えないから私が忖度した」と発言しました。

これについて、立憲民主党の小川敏夫氏は「この発言は総理や副総理が自分の口では言えないから、代わりに自分たちが来たんだと、こういうやり取りに理解できる。この発言についてどのように考えるか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「本人も事実と異なる発言と認めており、そうした発言をしたことは問題だ。すでに本人から撤回し、謝罪したところと承知をしているが、まずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えている」と述べました。

塚田副大臣「説明責任果たすことで職責全う」

塚田国土交通副大臣は、参議院決算委員会のあと、記者団に対し、「一つ一つ真摯(しんし)に誠実にお答えした。菅官房長官と石井国土交通大臣から厳重注意を受け、しっかり説明責任を果たしていくよう指示されたので、誠意を持って説明責任を果たすことで職責を全うしていきたい」と述べました。

自民各派「使ってはいけない言葉」意見相次ぐ

道路整備をめぐり、塚田国土交通副大臣が安倍総理大臣と麻生副総理兼財務大臣の意向を「忖度した」と発言したことについて、自民党の派閥の会合では、緊張感を持って臨むべきだという意見が相次ぎました。

塚田国土交通副大臣が所属する麻生派の会長を務める麻生副総理は、「予算が成立し、通常国会は1つ大きな山を越えた気になるが、気を抜くと問題が起きる。常に緊張感を持って、それぞれの務めを果たしてもらいたい」と呼びかけました。

岸田政務調査会長は、北海道滝川市で記者団に対し、「緊張感を欠く軽率な発言だ。撤回して謝罪したが、国会で丁寧に説明し、対応していかなければならない。何よりも国民にしっかりと説明責任を果たしていくことが大事だ」と述べました。

また、石原元幹事長は、「きのう森山国会対策委員長と電話で話したが、塚田副大臣の発言に、怒っていた。気を引き締めていかないと、小さな穴が大きな穴になる。そういうことがないよう、後半国会で、しっかりと法案を処理していこう」と述べました。

さらに、石破派では、「緩みとしか受け取られない発言だ。政権与党は厳しい目で見られていると思って、気を引き締めていかなければいけない」という意見が出されました。

茂木経済再生担当大臣は、竹下派の会合のあと、記者団に対し「自身の立場もありながら、忖度という使ってはいけないことばを使っており、極めて不適切だ。反省して、職務に励んでほしい」と述べました。
また、国会運営や統一地方選挙への影響について、「プラスでないのは間違いないが、統一地方選挙はそれぞれの地域の問題が中心なので、どこまで影響があるかは分からない」と述べました。