際連携平和安全活動で
自衛官初派遣へ準備指示

安全保障関連法で新設された「国際連携平和安全活動」として、エジプト東部のシナイ半島で停戦監視にあたる多国籍監視軍の司令部に、自衛官をことし4月にも初めて派遣するため、岩屋防衛大臣は自衛隊に対し、現地の調査などの準備に入るよう指示しました。

4年前に安全保障関連法が成立したことで、国連のPKO=平和維持活動ではない国際的な平和協力活動にも一定の条件をつけて、「国際連携平和安全活動」として自衛隊が参加することが可能になりました。

政府はイスラエルと国境を接するエジプト東部のシナイ半島で、両国の停戦監視などを行うMFO=多国籍監視軍の要請を受けて、司令部要員を派遣する方針を決め、岩屋防衛大臣は28日夕方、自衛隊に対して派遣する幹部自衛官の人選や現地の調査など準備を進めるよう指示しました。

4月にも自衛官2人が現地に派遣され、エジプト側とイスラエル側の連絡調整などにあたることになります。

岩屋大臣は記者団に対し、「防衛省として中東の平和と安定へのわが国の一層積極的な貢献に寄与すべく、所要の措置を講じていきたい」と述べました。

国際連携平和安全活動での海外派遣は初めて

今回、準備指示が出された「国際連携平和安全活動」は4年前に成立した安全保障関連法に盛り込まれた新しい任務で、国連のPKO=平和維持活動に準じた多国籍軍などの活動について、停戦合意の成立など「PKO参加5原則」を満たすことなどを条件に自衛隊の参加を認めるものです。この活動で自衛官が海外に派遣されるのは今回が初めてになります。

派遣先のエジプト・シナイ半島では中東戦争のあとイスラエルとエジプトとの間で結ばれた平和条約にもとづき、多国籍軍が停戦を監視するための活動が1982年から行われています。

現在はアメリカを中心にイギリスやイタリアなど、12か国から派遣されたおよそ1200人が活動にあたっていて、今回派遣される自衛官2人はシナイ半島の南端にある多国籍監視軍の司令部の要員となります。

派遣される自衛官は関係者が襲撃された場合に現場に急行して救出する「駆け付け警護」など、安全保障関連法で可能となった新たな任務に対応することもできますが、防衛省は今回は部隊ではなく司令部要員としての派遣のため、こうした任務への対処を想定していないとしています。