地「カジノということば
出てきてない」小池知事

東京 中央区の旧築地市場の跡地について、東京都は国際会議や展示会などを開くことができる大規模な会議場の整備を中核に、2040年代までに段階的に再開発を行うなどとするまちづくり方針の素案を明らかにしました。

豊洲市場への移転に伴い、去年10月に閉場した旧築地市場では、現在、解体工事が進められていて、東京都はおよそ23ヘクタールの跡地を、来年の東京大会で選手などの輸送拠点として使ったあと、再開発する方針です。都は23日、関係する局長による会議を開き、再開発に向けたまちづくり方針の素案を明らかにしました。

それによりますと、東京がほかのアジアの大都市との競争を勝ち抜くため、国際会議や展示会などを開いて海外から多くの人を呼び込むことができる大規模な会議場の整備を再開発の中核に据えるとしています。

そのうえで、高級ホテルの誘致のほか、銀座に近く、浜離宮恩賜庭園や隅田川が周辺にある立地をいかし、集客や交流ができる施設も整備する方針です。

旧築地市場の跡地は民間に長期で貸し付けたうえで、東京大会の終了後、2040年代までに段階的に再開発を行う方針です。

都は、この素案について来月21日まで都民の意見を募集し、今年度中に方針を決めることにしています。

小池知事「カジノということばは出てきておらず」

まちづくり方針の素案について、東京都の小池知事は記者団に対し、「旧築地市場の跡地を創造して発信していく拠点にする。築地を最大限有効に使うことで、都民へのサービスや期待に応えていきたい」と述べました。

また、再開発の地区にカジノを含むIR=統合型リゾート施設を誘致することについては、「素案にカジノということばは出てきておらず、その方向性で考えていきたい。今回の素案をベースに進めていく」と述べ、否定的な考えを示しました。

「食のテーマパーク」構想 盛り込まれず

旧築地市場の跡地の再開発をめぐっては、小池知事がおととし6月、「食のテーマパーク部門を有する新たな市場として、東京をけん引する一大拠点とする」と述べ、卸売市場の機能を確保しながら、食をテーマとした拠点として整備するという基本方針を表明しました。

しかし、移転先の豊洲市場に併設される観光施設、「千客万来施設」の運営会社が、「築地に同じような施設ができれば、競合で採算が取れなくなる」などと強く反発し、小池知事が会社側に陳謝しました。

23日公表されたまちづくり方針の素案には、卸売市場の機能を持つ「食のテーマパーク」の構想は盛り込まれず、方針の変更を余儀なくされる形となりました。

小池知事は、記者団から、みずからが打ち出した基本方針との整合性を問われたのに対し、「食のテーマパークを超えて、さらに文化やウエルネス、伝統などを含めた形で展開する」と述べるにとどまりました。