広島「被爆樹木」 工事の過程で誤って伐採

広島市にある原爆による焼失を免れた「被爆樹木」と呼ばれる木を、広島県が伐採や除草の工事の過程で誤って伐採したと発表しました。

誤って伐採されたのは、広島市東区の京橋川の護岸下にあったシダレヤナギです。

このシダレヤナギは高さ3メートルほどで、爆心地からおよそ2キロ離れたところにあり、平成29年に「被爆樹木」に登録されました。

「被爆樹木」は、原爆で被害を受けながら枯れずに残った樹木を保存するために広島市が登録を進めているもので、爆心地から半径およそ2キロの範囲にある160本が登録されています。

広島県によりますと、県が発注した京橋川沿いの伐採や除草をする工事の過程で、先月3日、このシダレヤナギが誤って伐採されたということです。

工事を発注した県西部建設事務所は、この場所に「被爆樹木」があることを認識しておらず、18日、広島市から県に指摘があり、誤って伐採していたことが分かったということです。

県土木建築局の長田和久土木整備担当部長は「貴重な被爆樹木を伐採したことについて県民に深くおわび申し上げる。重く受け止め、このような事態を二度と起こさないよう再発防止に努めてまいりたい」と話しています。

広島市 “改めて被爆樹木保存の通知をしたい”

広島市によりますと、被爆樹木のシダレヤナギが誤って伐採されたことについて、市は今月13日に市民から連絡を受け、17日、市の職員が現地を訪れて伐採されていることを確認しました。

18日、樹木医が診断したところ、切り株から芽が出る可能性があるということで、今後、芽が出るか注視し、出なければ枯死の判定をして被爆樹木の登録から抹消することになるということです。

広島市平和推進課は「被爆の実相を伝える被爆樹木が誤って伐採されたことは誠に残念だ。被爆樹木のすべての所有者に対して、改めて被爆樹木の保存について通知をしたい」とコメントしています。